月刊Hanada2022年7月号
【総力特集 こうすればよくなる!日本経済】
◎西田昌司(参議院議員) 「国会の爆弾男」が暴露!自民党を籠絡する財務省の工作【全内幕!】
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憲法九条と同じ構造

 それにしても財務省、与野党政治家、マスコミは、なぜかくも「財政健全化」という言葉に縛られているのでしょうか。そこには、
憲法九条と同じ構造があります。
 戦後史を紐解くと、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、日本が再び米国に歯向かわないよう日本の弱体化を行いました。
軍事の面では憲法九条を押し付け軍隊を持てないようにする一方、新しく作った財政法四条で、公共事業費などを除き「国の歳出は、
公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と定めたのです。これにより、日本政府は公共事業費以外は
税金の範囲内でしか予算を組めなくされてしまいました。
 その一方、GHQは日本の民主化という美名のもとで、財閥解体や最大九〇%の凄まじい税率の財産税を課すなどして、日本の
経済力を徹底的に削ぎました。皇室財産はほとんど召し上げられ、食べていけないので、直宮以外の十一の宮家が臣籍降下を余儀
なくされました。
 その後、朝鮮戦争が起き、東西冷戦が激化するなかで、米国は日本再軍備に方針転換しますが、財政法四条はそのまま生き続け、
現在のPB黒字化路線につながっています。
 四条の目的について一九八七年、 当時の宮澤喜一蔵相は「戦争中に国債が自由に無制限に発行できることが、日本が戦争に
入った大きな原因であると反省し、またGHQもそう考えたと思う」と発言しています。つまり、再武装させないためにGHQは財政に縛り
をかけたわけです。
 日本はGHQが作った憲法九条と財政法四条に、いまも強く呪縛されています。中国の覇権主義に対抗するためには防衛費をGDP
二%程度に拡充し、防衛力を大幅に強化する必要があります。東京裁判史観に基づく財政法四条のくびきを脱し、いまこそ日本は
財政の自由を取り戻すべきときなのです。