台頭する「現代貨幣理論(MMT)」は「生き残れる」のか?
2019/04/05  コラム執筆:坂本 正樹/丸紅株式会社 丸紅経済研究所
https://media.monex.co.jp/articles/-/11323
米国を騒がすMMT論争
MMTの中心的な主張の1つは、自国通貨の発行権を持つ国家は債務に対し新たに通貨を発行して返済を
行うことができるため、理論上ではデフォルト(債務不履行)のリスクを持たないというものである(図表1)。
出所:Steven Hail, "What is modern monetary theory?" The Conversation, Jan., 2017

主要な提唱者の1人であるケルトン教授(NY州立大)は、2016年アメリカ大統領選挙でサンダース民主党候
補の顧問を務めたことで知られる。

近年、民主党で脚光を浴びるオカシオコルテス下院議員が、地球温暖化対策への公共投資などを介して雇用
創出や格差是正などを図る「グリーンニューディール」政策の財源議論においてMMTを支持する立場を示したことも、
この理論がにわかに注目を集めるきっかけとなった。

2020年の大統領選挙に向けて候補者達の政策議論が熱を帯びる中、政策のボトルネックとなる財政問題に
一石を投じるMMTの主張が、どのような帰趨を迎えるのかは注意深く見守る必要がある。