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景気の回復局面は6年目に入ったが、デフレ脱却は道半ばといわれる。一方、「体感物価」の上昇で消費者の間には、なお生活防衛・節約志向が根強い。
そんななか、景気をよくする「禁断の劇薬」ともいわれるヘリコプターマネーが経済に及ぼす効果を基礎から解説し、導入を勧めるのが今回の書籍「ヘリコプターマネー」だ。
人工知能(AI)が進化し、多くの人間の仕事をロボットなどが担うようになる未来の経済政策としても有効だという。

著者は、景気と市中に出回るお金「マネーストック」の量の関係を重視します。
マネーストックを増やし、消費を刺激して景気をよくするには、ヘリコプターマネーが有効であり、そのために政府の「貨幣発行益」を充てる手を考えるべきだと説きます。

■ばらまきの原資、貨幣発行益で

 「貨幣発行益」は、政府や中央銀行などが貨幣を発行することで得られる利益である。
例えば、1万円札の発行コストは一枚あたり約20円なので、残りの9980円が日銀の貨幣発行益ということになる。(中略)

 貨幣発行益は、人類が手にできるほとんど唯一の打ち出の小槌(こづち)であり、私たちはデフレ下では、この小槌を副作用なしに振ることができる。
ヘリコプターマネーを実施しない政府と中央銀行は、国民のウェルフェア(厚生、幸福)を高める責務を怠っていることになる。
(第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム 160〜162ページ)