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「うわ、すげーうまそう」
 テーブルの上に朝食が並んでいる。
 特に卵焼きの黄色が目をひいた。
 おいしそうな焼き色をみせて、白い皿の上で湯気を立てている。
「いただきます」
 俺はハシを卵焼きへ伸ばした。
 できたての熱々だった。卵のまろやかさ、ダシを含んだ優しい味が広がる。
「Bは卵焼き、好きだったよね」
「覚えていて、くれたんだ」
「もちろんだよ」
 Bが笑う。俺は、もうじゅうぶんだと思った。
 どうして顔が赤くなってしまうのかは、自分でもうまく説明できなかった。