【ゆうきゆう】マンガで分かる心療内科【ソウ】
レス数が1000を超えています。これ以上書き込みはできません。
ゆうきゆう原作のマンガで分かる心療内科その他のスレ
すぐ荒らしが湧いてスレ潰されるのでしつこく立ててみます しかし、すんげえ荒らし方だな
いくらなんでも、やりすぎだぞ 幾ら何でも最近の埋めるペースは完全に荒らしだぞ
ここにもルールってもんがある 少なくとも一時間半程度の間見つけられなかったらしいな
いやどんだけ隠したいんだよドン引きだわゆうきゆう
まだ何の話題もはじまってなかっただろ 荒らしているのは本人ではないと思う
先生のために、と思ってやっている奴だろう
時々埋めるぐらいなら良いが
こんなハイペースで荒らしていたら、
ゆうきゆう=2ちゃん荒らしてるってイメージつくだろ
かえって仇になるようなことすんな、アホ >>46
実際本人暇じゃないだろうからな
業者の可能性はあるだろうが >>55
事情知ってる人?
個人的にはスレが残ってる方が先生にとって害悪だろうから流した方がいいと思うけどね
アンチもそろそろ飽きてきた頃じゃないの >>68
ここには書けない
関係ない事書いて埋める方が先生の為だろう
過去ログで残って検索され見られても
意味不明な文章しかなければ、
本人のために、クリニックのためになるだろう
だから、このまま荒らしに荒らされる方が先生の為ではある
だがな・・・
この2カ月ぐらい、ピンクの洋服をきて大砲を持った人間が、頭に何度も思い浮かび苦しい 飽きててスレ消えてたのに目立つ真似して掘り返したのがこの荒らしなんだが?
臭い物に蓋しようとしているその汚い性根が気に食わない >>73
ああ、苦しい
黙っていれば、私は徳を積めるのでしょうか
見て見ぬフリをすれば、徳を積めるのか
勇気が欲しい >>75
当事者にもう何も隠すことなどないだろう
徳とかキモいこと言ってんじゃねえよ
知ったかして勿体ぶって身近な関係者装ってるなら荒らしよりウザいからとっとと死ね >>92
いいから死ねよクズ
お前こそ関係者やファンの振りして陥れようとしてんだろ
それとも告発者と同じストーカーなの? >>96
何か都合でも悪いですかー?
お前は勘が悪いんだな
豆腐の角に頭ぶつけて死ねよ
この不細工が この騒動もはっきりよく分からないまま鎮火しそうだな そのままでいいんだっていいんだってほんとのもうバカだから >>85いってこい! 否。多い処の騒ぎでなく、現在の本当のことです 本の大衆の百人中九十九人までは「能ぎらい」もしくは能に対して理解をもた >>72かっこいいなお前!!ない人々であるらしい。 ところがこの能ぎらいの人々について考えて
みると能の性質がよくわかる。 目下日本で流行している音曲とか舞楽というものは随分沢山ある。上は宮中 の雅楽から下は俗謡に到るまで数十百種に上るであろう。 ところでその中でも芸術的価値の薄いものほどわかり易くて面白いので、又、 そんなものほど余計に大衆的のファンを持っているのは余儀ない次第である。 つまりその中に「解り易い」とか「面白い」とか「うまい」とか「奇抜だ」と か「眼新しい」とか言う分子が余計に含まれているからで、演者や、観衆、も しくは聴衆が余り芸術的に高潮せずとも、ストーリーの興味や、リズムの甘さ、 舞台面の迫真性、もしくは装飾美等に十分に酔って行く事が出来るからである。 然るに能はなかなかそうは行かない。第一流の名人が演じても、容易に共鳴 出来ないので、坐り直して、深呼吸をして、臍下丹田に力を籠めて正視しても 「世の中に能ぐらい面白くないシン気臭い芸術はない。日増しのお経みたよう なものを大勢で唸っている横で、鼻の詰まったようなイキンだ掛け声をしなが ら、間の抜けた拍子で鼓や太鼓をタタク。それに連れて煤けたお面を冠った、 奇妙な着物を着た人間が、ノロマが蜘蛛の巣を取るような恰好でソロリソロリ とホツキ歩くのだから、トテモ退屈で見ていられない。第一外題や筋がパッと しないし、文句の意味がチンプンカンプンでエタイがわからない。それを演ず るにも、泣くとか、笑うとか、怒るとかいう表情を顔に出さないでノホホンの 仮面式に押し通すのだから、これ位たよりない芸術はない。二足か三足ソーッ と歩いたばかりで何百里歩いた事になったり、
相手もないのに切り結んだり、 こんなに連投してよく規制されないな
いい加減、ご飯食べに行って来なよ
こんなことばっかりやっていても
つまらんだろうに 何万人もいるべき舞台面にタッタ二、三人しかいなかったりする。まるで芸術 表現の詐欺取財だ。あんなものが高尚な芸術なら、水を飲んで酔っ払って、空 自動と手動の両方か
しかし、いつまで続くんだ
スレッド立つ、埋める、スレッド立つ、埋める
エンドレスじゃないか 荒らし、メシはちゃんと食うんだぞ
タンパク質だ、タンパク質
ゆうき先生も言ってるだろ、タンパク質って ット曲としてのオーソドキシーにかなってもいたおか
げで若者たちは自分たちの信じる文化が告発されてい ク・ディグリーズ』こそロックのそうしたオトナ化あ
るいは市民化を方向づけた代表作だろうジャケットの アンチは一先ず置いておいて
ストーカー一歩手前の匂わせキチガイ信者みたいなのが湧くのはホント可哀想
まあビジネスモデルがビジネスモデルだし仕方がないのか >>68
飽きてないよー
定期的にスレは立ててあげるね
スレある方が害悪ってなに?
害悪になるようなことしたのは本人だよね? ク疲れした元若者はいたし東京にもそれに同調して
シティーボーイを名乗りたい現若者がゴマンといた >>195
そういうお前は何なんだ?
なんか、アリ◯くせえなお前
アンチ嫌いだったが、アリ◯が一番嫌い
いつも偉そうで
アンチも擁護も罵りまくりだったよな >>7メロウに改宗していくことだったいま思えばそれが「 変身したのだジャーナリズムはこうした事態を「ロッ
クがついに市民権を得て真に主流の音楽になった」と 時点でトレンディーでいるために音楽を聴くという人
々を明瞭にしたことだと思うそして「ロックはライフ 目の下のペイントキモくね?
センス悪すぎ
何したいのかわからん
周りの人止めてやれよ
話し方どもりがちなんだから
ライブは向かないねぇ
テンポが悪い TY—LastTimeAround」が開かれた文 信者なのに投影とか知らないんだろうな
所詮信者ぶってるだけか 心理学にのめり込む奴は変わってるやつ多い気がするんだが
覗き込みすぎると、かえっておかしくなるのか >>71た日本のロック・グループはっぴいえんどを中心に当 ところで図形ちゃんって凍結されたの?
ゆうきゆうの件以外でも無差別に煽りまくったから自業自得だとは思うけど この国のあらゆる国内産洋楽がそうであるようにロッ
クもまた英米のそれのひきうつしからスタートしたは
っぴいえんどにしてからがバッファロー・スプリング >>241
複垢は生きてる
元気にアイコン乞食やってるわ 持を送ったのである実際このアルバムに聴くはっぴい
えんどの演奏はライブ特有の荒っぽさを伴いつつも躍 これは酷い
ネットに書かれることはよほど都合が悪いのだろう どちらかというと華奢な感じの私ですが、
マイクの前では大胸筋をグッと膨らませ、その生き様を演じたいと思います そのままでいいんだっていいんだってほんとのもうバカだから >>85いってこい! 否。多い処の騒ぎでなく、現在の本当のことです 本の大衆の百人中九十九人までは「能ぎらい」もしくは能に対して理解をもた >>72かっこいいなお前!!ない人々であるらしい。 ところがこの能ぎらいの人々について考えて
みると能の性質がよくわかる。 目下日本で流行している音曲とか舞楽というものは随分沢山ある。上は宮中 の雅楽から下は俗謡に到るまで数十百種に上るであろう。 ところでその中でも芸術的価値の薄いものほどわかり易くて面白いので、又、 そんなものほど余計に大衆的のファンを持っているのは余儀ない次第である。 つまりその中に「解り易い」とか「面白い」とか「うまい」とか「奇抜だ」と か「眼新しい」とか言う分子が余計に含まれているからで、演者や、観衆、も しくは聴衆が余り芸術的に高潮せずとも、ストーリーの興味や、リズムの甘さ、 舞台面の迫真性、もしくは装飾美等に十分に酔って行く事が出来るからである。 然るに能はなかなかそうは行かない。第一流の名人が演じても、容易に共鳴 出来ないので、坐り直して、深呼吸をして、臍下丹田に力を籠めて正視しても 「世の中に能ぐらい面白くないシン気臭い芸術はない。日増しのお経みたよう なものを大勢で唸っている横で、鼻の詰まったようなイキンだ掛け声をしなが ら、間の抜けた拍子で鼓や太鼓をタタク。それに連れて煤けたお面を冠った、 奇妙な着物を着た人間が、ノロマが蜘蛛の巣を取るような恰好でソロリソロリ とホツキ歩くのだから、トテモ退屈で見ていられない。第一外題や筋がパッと しないし、文句の意味がチンプンカンプンでエタイがわからない。それを演ず るにも、泣くとか、笑うとか、怒るとかいう表情を顔に出さないでノホホンの 仮面式に押し通すのだから、これ位たよりない芸術はない。二足か三足ソーッ と歩いたばかりで何百里歩いた事になったり、
相手もないのに切り結んだり、 何万人もいるべき舞台面にタッタ二、三人しかいなかったりする。まるで芸術 表現の詐欺取財だ。あんなものが高尚な芸術なら、水を飲んで酔っ払って、空 ット曲としてのオーソドキシーにかなってもいたおか
げで若者たちは自分たちの信じる文化が告発されてい ク・ディグリーズ』こそロックのそうしたオトナ化あ
るいは市民化を方向づけた代表作だろうジャケットの ク疲れした元若者はいたし東京にもそれに同調して
シティーボーイを名乗りたい現若者がゴマンといた >>7メロウに改宗していくことだったいま思えばそれが「 変身したのだジャーナリズムはこうした事態を「ロッ
クがついに市民権を得て真に主流の音楽になった」と 時点でトレンディーでいるために音楽を聴くという人
々を明瞭にしたことだと思うそして「ロックはライフ TY—LastTimeAround」が開かれた文 >>71た日本のロック・グループはっぴいえんどを中心に当 この国のあらゆる国内産洋楽がそうであるようにロッ
クもまた英米のそれのひきうつしからスタートしたは
っぴいえんどにしてからがバッファロー・スプリング 持を送ったのである実際このアルバムに聴くはっぴい
えんどの演奏はライブ特有の荒っぽさを伴いつつも躍 保吉やすきちはずつと以前からこの店の主人を見知つてゐるずつと以前から——或はあの海 軍の学校へ赴任した当日だつたかも知れない彼はふとこの店へマツチを一つ買ひにはひつた
店には小さい飾り窓があり窓の中には大将旗を掲げた軍艦三笠みかさの模型のまはりにキ ユラソオの壜だのココアの罐だの干ほし葡萄ぶだうの箱だのが並べてあるが軒先に「たばこ 」と抜いた赤塗りの看板が出てゐるから勿論マツチも売らない筈はない彼は店を覗のぞきこ
みながら「マツチを一つくれ給へ」と云つた店先には高い勘定台かんぢやうだいの後ろに若 い眇すがめの男が一人つまらなさうに佇たたずんでゐるそれが彼の顔を見ると算盤そろばん を竪たてに構へたままにこりともせずに返事をした「これをお持ちなさい生憎あいにくマツ
チを切らしましたから」お持ちなさいと云ふのは煙草に添へる一番小型のマツチである「貰 家、電信柱、山、月。これらを比べて違う
のは、電車からの距離です。つまり、遠くのものほど、
動かないように見えるのです。月は、わたしたちの地球
を三十個ぐらい並べたほど先にある空のかなたに浮かん
でいます。ですから、地球の上を少々移動したくらいで
は、月の位置は変わらないように見えるのです。 ふのは気の毒だぢや朝日あさひを一つくれ給へ」「何かまひませんお持ちなさい」「いやま あ朝日をくれ給へ」「お持ちなさいこれでよろしけりや——入らぬ物をお買ひになるには及 もちろん、月よりもっと遠くの太陽でも、同じことが言えます
。あなたがどんなに動いても太陽はついてきます。しか
し、太陽はまぶしすぎて、あまり見上げることはありま
せん。やはり、夜、明るい月が一緒についてくるところ
にこそ、不思議さがあるのでしょう。地球は月の四倍の
大きさです。したがって、もし、月の上を歩きながら地
球を見ると、月よりも四倍大きい、青く美しい地球がつ
いてきます。月と地球のツキあいは、遠くても深いもの
なのです。 ばないです」眇すがめの男の云ふことは親切づくなのには違ひないがその声や顔色は如何い かにも無愛想を極めてゐる素直に貰ふのは忌いまいましいと云つて店を飛び出すのは多少相
手に気の毒である保吉はやむを得ず勘定台の上へ一銭の銅貨を一枚出した「ぢやそのマツチ 「ねえ、どうしてついてくるの?」
「だって、ツキだから。」「では、もし太陽だったら?」
「やっぱり、ついて行きタイヨウ。」「甘えん坊なんだね。
」【1】買ってきた野菜の葉に、いも虫がたくさんつい
ていたらどうしますか。普通は「わあ、いやだ」と急い
で取り除き、野菜をすっかりきれいにしてから調理する
でしょう。【2】しかし世界には、いも虫を見て「わあ
、おいしそう」と感じる人たちもいるのです。 を二つくれ給へ」「二つでも三つでもお持ちなさいですが代だいは入りません」其処そこへ 幸ひ戸口に下げた金線きんせんサイダアのポスタアの蔭から小僧が一人首を出したこれは表
情の朦朧もうろうとした面皰にきびだらけの小僧である「檀那だんなマツチは此処ここにあ アフリカ
の一部では、ガの幼虫であるいも虫が食用にされていま
す。 りますぜ」保吉は内心凱歌を挙げながら大型のマツチを一箱買つた代だいは勿論一銭である
しかし彼はこの時ほどマツチの美しさを感じたことはない殊に三角の波の上に帆前船ほまへ せんを浮べた商標は額縁へ入れても好いい位である彼はズボンのポケツトの底へちやんとそ のマツチを落した後得々とくとくとこの店を後ろにした保吉は爾来半年はんとしばかり学
校へ通ふ往復に度たびこの店へ買ひ物に寄つたもう今では目をつぶつてもはつきりこの店を 思ひ出すことが出来る天井の梁はりからぶら下つたのは鎌倉のハムに違ひない欄間らんまの 色硝子いろガラスは漆喰しつくひ塗りの壁へ緑色の日の光を映してゐる板張りの床に散らか つたのはコンデンスド・ミルクの広告であらう正面の柱には時計の下に大きい日暦ひごよみ
がかかつてゐるその外ほか飾り窓の中の軍艦三笠も金線サイダアのポスタアも椅子も電話も 自転車もスコツトランドのウイスキイもアメリカの乾ほし葡萄ぶだうもマニラの葉巻もエヂ プトの紙巻も燻製くんせいの鰊にしんも牛肉の大和煮やまとにも殆ど見覚えのないものはな
い殊に高い勘定台の後ろに仏頂面ぶつちやうづらを曝さらした主人は飽き飽きするほど見慣 れてゐるいや見慣れてゐるばかりではない彼は如何いかに咳せきをするか如何に小僧に命令 をするかココアを一罐買ふにしても「FryよりはこちらになさいこれはオランダのDro
steです」などと如何に客を悩ませるか——主人の一挙一動さへ悉ことごとくとうに心得 てゐる心得てゐるのは悪いことではないしかし退屈なことは事実である保吉は時々この店へ 来ると妙に教師をしてゐるのも久しいものだなと考へたりしたその癖前にも云つた通り彼の 教師の生活はまだ一年にもならなかつたのであるけれども万法を支配する変化はやはりこの
店にも起らずにはすまない保吉は或初夏の朝この店へ煙草を買ひにはひつた店の中はふだん の通りである水を撒うつた床の上にコンデンスド・ミルクの広告の散らかつてゐることも変 りはないがあの眇すがめの主人の代りに勘定台の後ろに坐つてゐるのは西洋髪に結ゆつた女 である年はやつと十九位であらうEnfaceに見た顔は猫に似てゐる日の光にずつと目を 細めた一筋もまじり毛のない白猫に似てゐる保吉はおやと思ひながら勘定台の前へ歩み寄つ た「朝日を二つくれ給へ」「はい」女の返事は羞はづかしさうであるのみならず出したのも 朝日ではない二つとも箱の裏側に旭日旗きよくじつきを描いた三笠である保吉は思はず煙草 から女の顔へ目を移した同時に又女の鼻の下に長い猫の髭ひげを想像した「朝日を——こり や朝日ぢやない」「あらほんたうに——どうもすみません」猫——いや女は赤い顔をしたこ の瞬間の感情の変化は正真正銘に娘じみてゐるそれも当世たうせいのお嬢さんではない五六 年来迹あとを絶つた硯友社けんいうしや趣味の娘である保吉はばら銭せんを探りながら「 たけくらべ」乙鳥口つばくろぐちの風呂敷包み燕子花かきつばた両国鏑木清方かぶらぎきよ かた——その外いろいろのものを思ひ出した女は勿論この間も勘定台の下を覗きこんだなり 一生懸命に朝日を捜してゐるすると奥から出て来たのは例の眇すがめの主人である主人は三 笠を一目見ると大抵容子ようすを察したらしいけふも不相変あひかはらず苦り切つたまま
勘定台の下へ手を入れるが早いか朝日を二つ保吉へ渡したしかしその目にはかすかにもしろ 頬笑ほほゑみらしいものが動いてゐる「マツチは?」女の目も亦猫とすれば喉のどを鳴らし さうに媚こびを帯びてゐる主人は返事をする代りにちよいと唯点頭てんとうした女は咄嗟 とつさに勘定台の上へ小型のマツチを一つ出したそれから——もう一度羞はづかしさうに 笑つた「どうもすみません」すまないのは何も朝日を出さずに三笠を出したばかりではない 保吉は二人を見比べながら彼自身もいつか微笑したのを感じた女はその後いつ来て見ても勘 定台の後ろに坐つてゐる尤も今では最初のやうに西洋髪などには結ゆつてゐないちやんと赤
い手絡てがらをかけた大きい円髷まるまげに変つてゐるしかし客に対する態度は不相変妙に うひうひしい応対はつかへる品物は間違へるおまけに時々は赤い顔をする——全然お上かみ さんらしい面影おもかげは見えない保吉はだんだんこの女に或好意を感じ出したと云つても
恋愛に落ちた訣わけではない唯如何いかにも人慣れない所に気軽い懐しみを感じ出したの である或残暑の厳きびしい午後保吉は学校の帰りがけにこの店へココアを買ひにはひつた女 はけふも勘定台の後ろに講談倶楽部かうだんくらぶか何かを読んでゐる保吉は面皰にきびの
多い小僧にVanHoutenはないかと尋ねた「唯今あるのはこればかりですが」小僧の 渡したのはFryである保吉は店を見渡したすると果物の罐詰めの間に西洋の尼さんの商標 をつけたDrosteも一罐まじつてゐる「あすこにDrosteもあるぢやないか?」小
僧はちよいとそちらを見たきりやはり漠然とした顔をしてゐる「ええあれもココアです」「
ぢやこればかりぢやないぢやないか?」「ええでもまあこれだけなんです——お上かみさん ココアはこれだけですね?」保吉は女をふり返つた心もち目を細めた女は美しい緑色の顔を してゐる尤もこれは不思議ではない全然欄間らんまの色硝子を透かした午後の日の光の作 用である女は雑誌を肘ひぢの下にしたまま例の通りためらひ勝ちな返事をした「はあそれだ けだつたと思ふけれども」「実はこのFryのココアの中には時々虫が湧いてゐるんだが— —」保吉は真面目に話しかけたしかし実際虫の湧いたココアに出合つた覚えのある訣わけで はない唯何でもかう云ひさへすればVanHoutenの有無うむは確かめさせる上に効能 のあることを信じたからである「それもずゐぶん大きいやつがあるもんだからね丁度この小 指位ある」女は聊いささか驚いたやうに勘定台の上へ半身をのばした「そつちにもまだあり やしないかい?ああその後ろの戸棚の中にも」「赤いのばかりです此処にあるのも」「ぢや こつちには?」女は吾妻あづま下駄を突つつかけると心配さうに店へ捜しに来たぼんやりし た小僧もやむを得ず罐詰めの間などを覗いて見てゐる保吉は煙草へ火をつけた後彼等へ拍車 を加へるやうに考へ考へしやべりつづけた「虫の湧いたやつを飲ませると子供などは腹を痛 めるしね彼は或避暑地の貸し間にたつた一人暮らしてゐるいや子供ばかりぢやない家内も一 度ひどい目に遇つたことがある勿論妻などを持つたことはない何しろ用心に越したことはな いんだから」保吉はふと口をとざした女は前掛けに手を拭きながら当惑さうに彼を眺めてゐ る「どうも見えないやうでございますが」女の目はおどおどしてゐる口もとも無理に微笑し てゐる殊に滑稽に見えたのは鼻も亦つぶつぶ汗をかいてゐる保吉は女と目を合せた刹那せつ なに突然悪魔の乗り移るのを感じたこの女は云はば含羞草おじぎさうである一定の刺戟を与 へさへすれば必ず彼の思ふ通りの反応を呈するのに違ひないしかし刺戟は簡単であるぢつと 顔を見つめても好い或は又指先にさはつても好い女はきつとその刺戟に保吉の暗示を受けと るであらう受けとつた暗示をどうするかは勿論未知の問題であるしかし幸ひに反撥しなけれ ば——いや猫は飼つても好いいが猫に似た女の為に魂を悪魔に売り渡すのはどうも少し考へ ものである保吉は吸ひかけた煙草と一しよに乗り移つた悪魔を抛はふり出した不意を食くら つた悪魔はとんぼ返る拍子に小僧の鼻の穴へ飛びこんだのであらう小僧は首を縮めるが早い かつづけさまに大きい嚏くさめをした「ぢや仕かたがないDrosteを一つくれ給へ」保 吉は苦笑を浮かべたままポケツトのばら銭を探り出したその後も彼はこの女と度たび同じや うな交渉を重ねたが悪魔に乗り移られた記憶は仕合せと外には持つてゐないいや一度などは ふとしたはずみに天使の来たのを感じたことさへある或秋も深まつた午後保吉は煙草を買つ た次手ついでにこの店の電話を借用した主人は日の当つた店の前に空気ポンプを動かしなが ら自転車の修繕に取りかかつてゐる小僧もけふは使ひに出たらしい女は不相変あひかはらず 勘定台の前に受取りか何か整理してゐるかう云ふ店の光景はいつ見ても悪いものではない何 処か阿蘭陀オランダの風俗画じみたもの静かな幸福に溢れてゐる保吉は女のすぐ後ろに受話 器を耳へ当てたまま彼の愛蔵する写真版のDeHoogheの一枚を思ひ出したしかし電話 はいつになつても容易に先方へ通じないらしいのみならず交換手もどうしたのか一二度「何 番へ?」を繰り返した後は全然沈黙を守つてゐる保吉は何度もベルを鳴らしたが受話器は彼 の耳へぶつぶつ云ふ音を伝へるだけであるかうなればもうDeHoogheなどを思ひ出し てゐる場合ではない保吉はまづポケツトからSpargoの「社会主義早わかり」を出した 幸ひ電話には見台けんだいのやうに蓋のなぞへになつた箱もついてゐる彼はその箱に本を載 せると目は活字を拾ひながら手は出来るだけゆつくりと強情にベルを鳴らし出したこれは横 着な交換手に対する彼の戦法の一つであるいつか銀座尾張町をはりちやうの自働電話へは ひつた時にはやはりベルを鳴らし鳴らしとうとう「佐橋甚五郎さばしじんごらう」を完全に 一篇読んでしまつたけふも交換手の出ない中うちは断じてベルの手をやめないつもりである さんざん交換手と喧嘩した挙句あげくやつと電話をかけ終つたのは二十分ばかりの後である 保吉は礼を云ふ為に後ろの勘定台をふり返つたすると其処には誰もゐない女はいつか店の戸 口に何か主人と話してゐる主人はまだ秋の日向ひなたに自転車の修繕をつづけてゐるらしい 保吉はそちらへ歩き出さうとしたが思はず足を止めた女は彼に背を向けたままこんなことを 主人に尋ねてゐる「さつきねあなたゼンマイ珈琲コオヒイとかつてお客があつたんですがね ゼンマイ珈琲つてあるんですか?」「ゼンマイ珈琲?」主人の声は細君にも客に対するやう な無愛想である「玄米珈琲の聞き違へだらう」「ゲンマイ珈琲?ああ玄米から拵こしらへた 珈琲——何だか可笑をかしいと思つてゐたゼンマイつて八百屋やほやにあるものでせう?」 保吉は二人の後ろ姿を眺めた同時に又天使の来てゐるのを感じた天使はハムのぶら下つた天 井のあたりを飛揚したまま何にも知らぬ二人の上へ祝福を授けてゐるのに違ひない尤も燻製 くんせいの鯡にしんの匂に顔だけはちよいとしかめてゐる——保吉は突然燻製の鯡を買ひ忘 れたことを思ひ出した鯡は彼の鼻の先に浅ましい形骸を重ねてゐる「おい君この鯡をくれ給 へ」女は忽ち振り返つた振り返つたのは丁度ゼンマイの八百屋にあることを察した時である 女は勿論その話を聞かれたと思つたのに違ひない猫に似た顔は目を挙げたと思ふと見る見る 羞かしさうに染まり出した保吉は前にも云ふ通り女が顔を赤めるのには今までにも度たび出 合つてゐるけれどもまだこの時ほどまつ赤になつたのを見たことはない「は鯡を?」女は小 声に問ひ返した「ええ鯡を」保吉も前後にこの時だけは甚だ殊勝しゆしように返事をしたか う云ふ出来事のあつた後二月ばかりたつた頃であらう確か翌年よくとしの正月のことである 女は何処へどうしたのかぱつたり姿を隠してしまつたそれも三日や五日ではないいつ買ひ物 にはひつて見ても古いストオヴを据ゑた店には例の眇すがめの主人が一人退屈さうに坐つて ゐるばかりである保吉はちよいともの足らなさを感じた又女の見えない理由にいろいろ想像 を加へなどもしたがわざわざ無愛想な主人に「お上かみさんは?」と尋ねる心もちにもなら ない又実際主人は勿論あのはにかみ屋の女にも「何々をくれ給へ」と云ふ外には挨拶さへ交 かはしたことはなかつたのであるその内に冬ざれた路の上にもたまに一日か二日づつ暖い日 かげがさすやうになつたけれども女は顔を見せない店はやはり主人のまはりに荒涼くわうり やうとした空気を漂はせてゐる保吉はいつか少しづつ女のゐないことを忘れ出したすると二 月の末の或夜学校の英吉利イギリス語講演会をやつと切り上げた保吉は生暖なまあたたかい 南風なんぷうに吹かれながら格別買ひ物をする気もなしにふとこの店の前を通りかかつた店 には電燈のともつた中に西洋酒の罎や罐詰めなどがきらびやかに並んでゐるこれは勿論不思 議ではないしかしふと気がついて見ると店の前には女が一人両手に赤子を抱へたまま多愛た わいもないことをしやべつてゐる保吉は店から往来へさした幅の広い電燈の光りに忽ちその 若い母の誰であるかを発見した「あばばばばばばばあ」女は店の前を歩き歩き面白さうに赤 子をあやしてゐるそれが赤子を揺ゆり上げる拍子に偶然保吉と目を合はした保吉は咄嗟に女 の目の逡巡する容子ようすを想像したそれから夜目よめにも女の顔の赤くなる容子を想像し たしかし女は澄ましてゐる目も静かに頬笑んでゐれば顔も嬌羞けうしうなどは浮べてゐない のみならず意外な一瞬間の後揺り上げた赤子へ目を落すと人前も羞ぢずに繰り返した「あば ばばばばばばあ」保吉は女を後ろにしながら我知らずにやにや笑ひ出した女はもう「あの女 」ではない度胸の好いい母の一人である一たび子の為になつたが最後古来如何いかなる悪 事をも犯した恐ろしい「母」の一人であるこの変化は勿論女の為にはあらゆる祝福を与へて も好いしかし娘じみた細君の代りに図々づうづうしい母を見出したのは保吉は歩みつづけた まま茫然と家々の空を見上げた空には南風みなみかぜの渡る中に円まるい春の月が一つ白じ ろとかすかにかかつてゐる以下は小説と呼ぶ種類のものではないかも知れないさうかと云つ て何と呼ぶべきかは自分も亦不案内である自分は唯四五年前の自分とその周囲とを出来る丈 こだはらずにありのまま書いて見た従つて自分或は自分たちの生活やその心もちに興味のな い読者には面白くあるまいと云ふ懸念けねんもあるがこの懸念はそれを押しつめて行けば結 局どの小説も同じ事だからそこに意を安んじて発表する事にした序ついでながらありのまま と云つても事実の配列は必しもありのままではない唯事実そのものだけが大抵ありのままだ と云ふ事をつけ加へて置く一十一月の或晴れた朝である久しぶりに窮屈な制服を着て学校へ 行つたら正門前でやはり制服を着た成瀬に遇あつたこつちで「やあ」と云ふと向うでも「や あ」と云つた一しよに角帽を並べて法文科の古い煉瓦造れんぐわづくりの中へはいつたら玄 関の掲示場の前に又和服の松岡がゐた我々はもう一度「やあ」と云つた立ちながら三人で近 々出さうとしてゐる同人雑誌『新思潮』の話をしたそれから松岡がこの間珍しく学校へ出て 来て西洋哲学史か何かの教室へはいつたが何時いつまで待つても先生は勿論学生も来る容子 ようすがない妙だと思つて外へ出て小使に尋きいて見たら休日だつたと云ふ話をした彼は電 車へ乗る心算つもりで十銭持つて歩きながら途中で気が変つて煙草屋へはいると平然として 「往復を一つ」と云つた人間だからこんな事は家常茶飯であるその中うちに傴僂せむしのや うな小使が朝の時間を知らせる鐘を振つて大急ぎで玄関を通りすぎた朝の時間はもう故人に なつたロオレンス先生のマクベスの講義である松岡と分れて成瀬と二階の教室へ行くともう 大ぜい学生が集つてノオトを読み合せたりむだ話をしたりしてゐた我々も隅の方の机に就い て新思潮へ書かうとしてゐる我々の小説の話をした我々の頭の上の壁には禁煙と云ふ札が貼 つてあつたが我々は話しながらポケツトから敷島を出して吸ひ始めた勿論我々の外の学生も 平気で煙草をふかしてゐたすると急にロオレンス先生が鞄をかかへてはいつて来た自分は敷 島を一本完全に吸つてしまつて殻も窓からすてた後だつたから更に恐れる所なくノオトを開 いたしかし成瀬はまだ煙草を啣くはへてゐたからすぐにそれを下へ捨てると慌あわてて靴で 踏み消した幸さいはひロオレンス先生は我々の机の間から立昇る縷々るるとした一条の煙に 気がつかなかつただから出席簿をつけてしまふと早速毎時いつもの通り講義にとりかかつ た講義のつまらない事は当時定評があつたがその朝は殊につまらなかつた始からのべつ幕な しに梗概かうがいばかり聴かされるそれも一々Act1Scene2と云ふ調子で一くさり づつやるのだからその退屈さは人間以上だつた自分は以前はかう云ふ時によく何の因果で大 学へなんぞはいつたんだらうと思ひ思ひしたが今ではそんな事も考へない程この非凡な講義 を聴く可く余儀なくされた運命にすつかり黙従し切つてゐただからその時間も機械的にペン を動かして帝劇の筋書の英訳のやうなものを根気よく筆記したがその中に教室に通つてゐる ステイイムの加減でだんだん眠くなつて来たそこで勿論眠る事にしたうとうとしてノオトに 一頁ばかりブランクが出来た時分ロオレンス先生が何だか異様な声を出したので眼がさめた 始めはちよいと居睡りが見つかつて叱られたかと思つたが見ると先生はマクベスの本をふり 廻しながら得意になつて門番の声色こわいろを使つてゐる自分もあの門番の類だなと思つた ら急に可笑をかしくなつてすつかり眠気がさめてしまつた隣では成瀬がノオトをとりながら 時々自分の方を見てくすくす独りで笑つてゐたそれから又二三頁ノオトをよごしたらやつと 時間の鐘が鳴つたさうして自分たちはロオレンス先生の後からぞろぞろ教室の外の廊下へ溢 れ出した廊下へ出て黄いろい葉を垂らした庭の樹木を見下してゐると豊田実君が来て「ちよ プロジェクトのホームページは、比較的空間的に組織されたWorldWideWe いとノオトを見せてくれ給へ」と云つたそれからノオトを開けて見せると豊田君の見たがつ てゐる所は丁度自分の居眠りをした所だつたので流石さすがに少し恐縮した豊田君は「ぢや bの世界で「故郷」領土として宣言を行うことにより、可能なプログラムの空 ようござんす」と云つて悠然と向うへ行つてしまつた悠然と云ふのは決して好い加減な形容 ぢやない実際君は何時でも悠然と歩いてゐた豊田君は今どこで何をしてゐるか判然とした事 間の抽象的な開墾を具体化するものなんだ。ノウアスフィアから「サイバース は承知しないがロオレンス先生に好意を持ち若しくはロオレンス先生が好意を持つた学生の 中で我々——と云つて悪るければ少くとも自分が常に或程度の親しみを感じてゐたたつた一 ペース」におりてきても、柵や吠える番犬の現実世界まではまだ距離があるけ 人の人間である自分はこれを書いてゐる今でも君の悠然とした歩き方を思ひ出すともう一度 君と大学の廊下に立つて平凡な時候の挨拶でも交換したいやうな気がしないでもないその中 れど、でも抽象的な領土主張をもっと直感的ななわばり理解に結びつけてはく に又鐘が鳴つて我々は二人とも下の教室へ行く事になつた今度は藤岡勝二博士の言語学の講 義である外の連中は皆先へ行つてちやんと前の方へ席をとつて置くがなまけ者の我々は何時 れる。だからこそ、Webページを持ったプロジェクトはもっと「本物」に感じ でも後からはいつて行つて一番隅の机を占領したその朝もやはりかう云ふ伝でんで愈いよい このスレッドは1000を超えました。
新しいスレッドを立ててください。
life time: 2日 3時間 21分 25秒 5ちゃんねるの運営はプレミアム会員の皆さまに支えられています。
運営にご協力お願いいたします。
───────────────────
《プレミアム会員の主な特典》
★ 5ちゃんねる専用ブラウザからの広告除去
★ 5ちゃんねるの過去ログを取得
★ 書き込み規制の緩和
───────────────────
会員登録には個人情報は一切必要ありません。
月300円から匿名でご購入いただけます。
▼ プレミアム会員登録はこちら ▼
https://premium.5ch.net/
▼ 浪人ログインはこちら ▼
https://login.5ch.net/login.php レス数が1000を超えています。これ以上書き込みはできません。