ワンピ尾田
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尾田
少年漫画雑誌で描く以上、少年を楽しませなくちゃいけないというのは、仕事だと思っていましたから。
実際プロになってみて、ファンレターとかをもらうようになると、そのほとんど女の子からなんだということをまず知るわけです。
男の子っていうのはもう、筆をとらない(笑)。
手紙も切手も持ってないし、わざわざ労力をかけて、人に「面白かったです」なんて答えようと思わない。
だから、少年というのは、楽しんではいるんだけど、意見を伝えてくれない人達なんです。
女の子の意見というのがすごく多いんだなということがわかって、漫画界を見渡してみると、
「この人、女子の意見に流されてないか?」
という人がたくさんいることに気づいたんですよ。
ということは、もらったファンレターの意見をお客さんのニーズだと思って描いたら、
これは結果的に少女漫画になるぞと(笑)。
だって少女に向けて描くわけだから、それは大間違いだなと思って。

―でも肝心の少年達は、意見をくれないわけですよね。

尾田
そうです。それだったら、自分の記憶の中で、自分が子供だったらこれは楽しめたなというものを、
しっかり照準をしぼってかいていかないといけないなと思ったんです。
もちろん少年もまったく意見をくれないわけじゃなくて、年賀はがきを親からもらったりしたら、出してくれるんですよ(笑)。
そうすると「戦いが好きだ」とか「この技が好きだ」とか、本当に少年らしい意見をくれて、
「ああ、やっぱりこういうところを楽しんでいるんだな」と思いながら見てますね。
だから、少年の貴重な意見というものをしっかりと大切に受け止めつつ、でもそれは女の子達からの手紙も嬉しいですよ。
黄色い声がキャーキャー上がっているようなものですから。
だけどその意見に揺り動かされているようでは、僕は少年漫画雑誌での立ち位置を失うというか、
存在価値がなくなるんじゃないかと。