>>991
モンタージュは全く違う2枚のカットを続けて見せることで、観客自身に二つのカットの意味づけを連想させる編集技法、とか説明されてるけど映画だと一般的

たとえば男が悲しそうな表情で視線を落とすアップがあって、次のカットは家族写真の大写しだったら、観客は何も説明がなくても、男が家族写真を見つめて悲しげな顔をしたんだと、勝手に想像する

鳥山さんは同じようにキャラの視線を追いかけておいて、次のコマでそのキャラが見ているものを(そのキャラ視点で)描く、というやり方を度々する

キャラが見ているものは、そのキャラの心を捉えてるものだから、読者はそこからキャラの心の動きを自然と想像できる(セリフがなくても)
しかも読者の視点(コマの視点)とキャラの視点を一致させる事で、キャラに感情移入させる効果もある

2枚目の画像は2コマ目で悟空が愕然と何かを見ていて、3、4コマ目に苦しむ悟飯とサディスティックな笑みを浮かべるセルのアップを描いてる
悟空が見ているものは苦しむ悟飯と悟飯を痛めつけるセルだということがわかる
んでその次のコマで、悟空にセルを止める行動を起こさせる

平凡な漫画なら、悟空が心変わりする場面をセルの憎々しいセリフや悟飯の悲鳴、ちくしょう許さねえぞ、などという一連の台詞を入れて描くと思うが、鳥山さんはピッコロの説教の後、たった3枚のカットで悟空の心情の変遷を描いてしまう

特にこの方法が多用されてるのは悟空
悟空はブルマや悟飯と違って、自分の心情をなかなか言わないキャラだから、このやり方が効果的なんだと思う