歴史あるTRPGサークルの集まりに見学者がやってきた。
会場では何人かのメンバーがリラックスした様子で席についているが
テーブルの上にはルールブックもサイコロもメモ用紙も見あたらない。
 やがてメンバーの1人が口火を切った。
「シナリオ19」
 続いて他のメンバーが口々に続ける。
「パターン15」
「パターン32」
  ……
 数分間の「パターン××」発言の後、全員が黙りこくって
ため息をついた。

 見学者が案内人に尋ねる。
「今やっていたのは何ですか?
 オークションみたいに『パターン××』を連呼してましたが」
「今ので長編キャンペーン1本さ。
 みんな経験が長いからな。ストーリの導入もキャラクタの反応も
すっかり覚え込んでしまったから番号で言えば話が通じるんだ」
「それじゃ、最後のため息は?」
「いつも通りのありきたりな結末だったんだよ」