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■新世代高性能LiDARの採用で実現できた日産の運転支援技術

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国沢氏が指を指しているのは、試作車両であるスカイラインのキャビン上に設置された
LiDAR本体。その横にはサラウンドカメラ、下にフロントカメラを設置する

 日産が一歩進んだ対応ができるのは、世界トップの技術を持つ『ルミナー』社という
企業と共同開発している新世代の高性能ライダー(LiDAR)を採用しているためだという。

 ライダーの技術を説明しようとすると、「テレビがなぜ写るのか」という説明のごとく
長くなる。効能でいえば、レーダーより目標物の形状をしっかり認識できて、カメラより
正確な距離を測れるというもの。複数の目標の形状と正確な距離がわかるのだった。

 現在実用化されているLiDARより圧倒的に広い探知性能を持っており(左右だけでなく、
上下方向もカメラと同等レベル)、前方にひとつ付けるだけで圧倒的な情報量を供給する
そうな。

 しかもライダーだけでなく、複数のレーダーと複数のカメラも組み合わせ、周囲の空間
や物体の形状を正確に把握させている。となれば気になるのがたくさんの情報を処理する
制御ユニットの能力だ。

 飯島さんに聞いたら、「トランクを開けてみてください」。開けてびっくり! 一部は
記憶装置だというが、写真のようにほぼギッシリ。これだけじゃ足りず、リアシートにも! 
加えてハイブリッド車の大容量DC=DCコンバーターが供給できる電力だけで足りず、
電源まで搭載している! このくらいの計算能力がないと複雑な事故パターンに対応でき
ないのだった。

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試作車両のスカイラインのトランク内にはコンピュータ類がぎっしり! 
一部は記憶装置というのだが、市販時にはどこまでコンパクトにできるのかにも注目だ
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一方、トランクルームに収まりきらなかった機材は運転席側のリアシートにも満載されていた

 こういった舞台裏まで包み隠さず我々に見せてくれることも飯島さんとの信頼感を
作り上げる。普通なら隠すだろう。つまり、2022年時点では圧倒的な情報力を持つLiDAR
の性能を使い切ることが難しいワケ。

 では、いつ頃になったら今回見せてくれた圧倒的な事故回避性能を実現できるのかを
飯島さんに聞くと、「2030年までには大半の日産車に搭載しようと考えています」。
LiDARを採用するということ。

 続く