日野自動車、不正が行われた期間中の社長である下(しも)会長事実上の退任へ
2022年4月19日 [最新情報] https://kunisawa.net/?p=56465

日野自動車の不正、多岐に渡っていた。目標値に届いていない燃費の数字を作ったり、
耐久試験の途中で触媒を変えたりするなど悪質。国交省も腹に据えかね、型式指定の
取り消しまで行ったほど。当然ながら型式指定無くなった新車の販売は出来ない。不正
対象を見ると売れ筋モデルばかりなので体力の無い企業なら破綻すると思う。過去の処分
からすればダントツに厳しいです。

・この内容見たら悪質さがよく解る
https://www.hino.co.jp/corp/news/assets/f2ecee628fe77f41b43da3e9dda01000.pdf

こういった場合、普通なら社長が責任を取らされる傾向。三菱自動車の時も燃費不正を
行っていたのは益子社長時代だったのに、発覚時の社長である相川社長が責任を取らされ
辞任させられた。しかし日野自動車は不正が行われていた期間中の社長だった下会長に
責任を取らせている。当然といえば当然なのだけれど、慣例と違うため「小木曽社長は
どうするんだ!」みたいな声も出てます。
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なぜ小木曽社長を辞任させなかったのか? 漏れ伝わるところによれば小木曽社長は責任
を取る気になっていたという。そりゃそうだ。今回の不正、昨年6月に日野自動車社長と
なった小木曽社長の知るトコロじゃない。辞任してもトヨタに戻ればいい。ちなみに
トヨタのドル箱となっている商用車部門のプレジデントだったことから解る通り、トヨタ
にとってエース級の人材です。

小木曽さんはプリウスの開発を手がけ、初代アクアのチーフエンジニアになる。
アドヴィックスで社長業務をしてから前述の通りCV(コーマーシャルビークル)の
プレジデントになった。温和な人ながら凄く仕事が出来る人だという評価。東工大の自動
車部に居たほどのクルマ好きだし。なぜ日野自動車かといえば、我が国のトラック業界は
茹でガエル状態だったからに他ならない。
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脱落対策、小木曽社長が頼みの綱だったのに

ほっとけばカーボンニュートラルなんて関係無いもんね、という業界です。そこにトヨタ
はエース級を送り込んだ。ホンキでトラック業界を変えようとしたワケです。実は大型
トラックの左後輪脱落問題も、長い間放置されてきた。小木曽社長が問題意識を大にして
対策しようとしている矢先だったという(不正問題で残念ながら後輪脱落の件は先送りに
なると思う)。

興味深いのは今回の不正を受け国交省側も小木曽社長の責任問題にはしない動きがある
ようだ。確かにここで辞任になったら誰が日野自動車を立て直せるか解らない。トヨタに
戻られたら困る。小木曽社長からすれば辞めた方が楽だったと思う。これからの日野
自動車を再生するのは容易なことじゃない。以上、総合して考えると「辞められなかった
」ということのようだ。

 続く