>>120 続き

加藤:このカテゴリーはトヨタの「アバンザ」をはじめライバルが多いですけれど、
エクスパンダーはお客さまの反応を見ているとデザインなどが好評だと思います。
 加えて車内の広さでしょうか。インドネシアで新車を買う方はお金持ちで大家族です。
お手伝いさんまで乗る。なにより三菱自動車のブランドイメージが強味です。

国沢:アジアではずっと同じ調子で三菱ブランドを発信し続けています。賑やかだし、
華やかです。タイのモーターショーにいくとピックアップトラックの競技車両まで展示し
てあり驚きました。一方、日本では謹慎状態。なぜ抜け出せないのでしょうか。

加藤:まさにそう思っています。ASEANはブランドイメージが良いためお客さんも集まる。
日本の場合、気持ちの面で負けている。日本では不祥事があったため、それを払拭するの
は容易じゃありません。とはいえ国内の車種ラインアップや売り方、広告宣伝にいままで
と違う方法があると考えはじめています。

国沢:私は最近の三菱自動車を見ているとまったく希望を感じないんです。社員だって
前向きではない。元気がない。活力もない。すべてネガティブな雰囲気です。ユーザー
からすればそんなメーカーのクルマを買おうという気になりません。三菱自動車の再興に
向け、具体的な方策はあるんでしょうか。

加藤:国沢さんから見ても元気の無さを感じますか? 現在考えているのは、まず出て
いくお金を減らすため、パジェロ製造の生産停止など生産体制を再編。ふたつ目にASEAN
などで拡販して収益を挙げる。その間に明るい未来に向けた、三菱自動車らしいクルマ
作りをしようと考えています。社内の検討チームに若い人も入れて動き始めました。

国沢:三菱自動車の状況を見ていると、そう簡単に立て直せるように感じません。この
ままだと一段と厳しくなっていく予想しか思いつかないんです。

加藤:ふたつの柱を考えています。環境対応と、いかに楽しいクルマを作れるか、です。
環境対応は弊社の特徴である電気自動車の技術をさらに広げていこうと考えています。
楽しいクルマも重要だと思います。残念ながらパジェロ製造を閉めますが、これ以上の
リストラは予定していません。

国沢:日産とルノーとのアライアンスも三菱自動車にとって明るい話だと思えないです。
先日行われたアライアンス記者会見で、三菱自動車はミドルサイズのPHEVだけが担当だと
発表されています。これだと稼ぎ方も限定されてしまう。例えばエクスパンダーのような
ASEANベースの新型車は作れないのでしょうか。

加藤:アライアンスの件は少し誤解されていると思います。三菱自動車の
プラットフォームがなくなるワケじゃないし、自由度を持っていないという意味ではあり
ません。エクスパンダーのモデルチェンジも可能です。ASEANベースのクルマを中東や
中南米などで売るというビジネスだってあるでしょう。

 続く