「もうリストラしない」 加藤CEOが描く三菱自動車復活への将来像とは
2020.11.09 国沢光宏 https://kuruma-news.jp/post/313142

加藤CEOが考える「エクスパンダー」人気の理由とは

 2020年11月4日に、2098億円の赤字という9月中間連結決算を発表した三菱自動車。2021
年3月期の連結業績予想は、純損益が3600億円を見込むなど、厳しい状況が続いています。
 一方、ASEAN市場では「エクスパンダー」が好調で販売拡大を推し進めるなど、明るい
ニュースも聞こえはじめてきました。
 そうした状況のなかで、今回筆者(国沢光宏)は三菱自動車の加藤隆雄代表執行役CEO
にインタビュー。三菱自動車の将来について、色々聞きました。

国沢:本日はよろしくお願いします! 儀礼的には時候の御挨拶から始めたいところです
が、最初から興味本意の質問をさせて頂きます。どういった経緯で、いつごろ三菱自動車
の社長に決まったのでしょうか。

加藤隆雄代表執行役CEO(以下、敬称略):それは私も聞いてみたいくらいです(笑)。
社長になって欲しいという連絡を頂いたのは発表の1週間前なんです。
 インドネシアでクルマに乗ってたら益子社長から電話が掛かってきて「次の社長は加藤
君だ。頼む」。まったく考えていなかったので無理だと答えたんですが、それでも「頼む
」の一点張りなんです。
 断ったらインドネシアから帰れそうになかったので引き受けることにしました。数時間
の間に決まったんです。

国沢:いままでインタビューしたなかではトップ3に入る唐突度ですね(笑)。心の準備
はまったく出来そうにありません。それにしてもなぜ御指名が加藤さんだったんでしょうか。

加藤:私もよく解らないんです(笑)。それ以前に社長になるような話だって出ていませ
んでした。ただ私の経歴は自動車会社のなかでもっとも大きな投資を必要とする生産関係
だということが大きかったように思います。

国沢:改めて加藤さんの三菱自動車における経歴を教えて頂けますでしょうか。

加藤:新卒で入社し、岡崎の工場からスタートしました。当時の担当は板金部品です。19
92年よりイリノイに作ったアメリカ工場の立ち上げで3年間駐在しています。イリノイ
工場では「エクリプス」のほか、クライスラー向けの「セブリング」を作っていました
のでクライスラー本社ともお付き合いさせてもらいました。
 その後もロシア工場立ち上げやインドネシア工場立ち上げに携わりました。プジョーと
のクルマ作りもしています。ほとんど海外ですね。

国沢:御経歴を聞いて納得しました。確かに工場設備はもっともお金が掛かります。しか
もロシアやインドネシアなど海外となればさまざまな交渉の引き出しも必要。そもそも
工場を立ち上げるということ自体、私からすれば天文学的な投資です。益子さんから見て
安心出来るということなのかもしれません。
 社長になる直前はインドネシア担当ということでしが、ASEANで「エクスパンダー」が
大当たりですね! なぜ成功したと考えてますでしょうか。

 続く