何といっても恐ろしいのは凍った下り坂だ。
たいした坂でなくても制動距離はものすごく伸びる。
1車線+1車線の長い下り坂の先に赤信号でトラックが止まっていたが、自車の速度は30km/hくらいで距離はまだ100mほどもある。
余裕と思いながら雪道だし早目にブレーキを踏んだ。
ところが全く効かない。
ブレーキを渾身の力で踏むが、ABSがガガガガガというだけでどんどんとトラックに近づいていく。
さらにどういうわけか自車がゆっくりと右を向き始めた(左ならいざとなれば歩道の雪山に突っ込んで止まれる)。
ブレーキを渾身の力で踏みながらステアリングを左に切ったが、効いたのか効かないのか45度くらい右を向いたままでトラックに近づいていく。
トラックを避けるためにブレーキを放せば対向車線に出て、赤信号は交差点の信号なので、もし曲がってくる車がいたら正面衝突してしまうし、交差点の中に入ってしまったらもっと大変なことになるのでできない。
早く信号が替わってトラックに発進してほしいが無情にも替わらない。
作り話かと思われるかもしれないが、トラックまであと1mほどで右を向いたまま止まった。
元が100mほど離れていたことを思えば幸運としかいいようがない。