実は、マスコミが暴走事故報道に関してプリウスの車名を報じな
いのは、トヨタによる莫大な広告費の存在、
つまり“スポンサータブー”があるからに他ならない。

 もともと、トヨタは「世界最大の自動車メーカー」として、
国から手厚い保護を受けると同時に、メディア関係者のなかでも
長らく絶対的なタブーになっていた。実際、トヨタ車はこれまで何
度も国内で欠陥が発覚し、その度に大量のリコールをおこない
ながら、新聞は数行のベタ記事を申し訳程度に載せるだけ、テレビにいたってはほとんど無視といった状況で、大々的な追及や
検証をする動きはなかった。

 例外は2009〜2010年、レクサスやプリウスなどの欠陥問題に
関する報道だが、これはアメリカで激しい追及が起き、豊田章男社長が
米下院の公聴会に出席して謝罪する事態に発展したため、日本
でも報道せざるをえなくなったにすぎない。

 日経広告研究所の調査報告によると、2017年度のトヨタの広告費は5096億円でトップ。しかも3年連続のトップの地位を誇っている。
2位ソニーの4071億円と比べてもトヨタがいかに莫大な広告費を投じてメディアに出稿しているかがわかるだろう。相次ぐ重大事故が
社会の注目を浴びるなか、マスコミ報道ではプリウスの名前が避けられている(そして、プリウスではない事故のときだけ
「ネットのデマ」だと強調する)のも、こうした“スポンサ
ータブー”が染み付いているからとしか思えないのだ。

 しかし、「高齢ドライバーによる暴走事故」がここまで社
会問題化している以上、本当の原因と事故抑止のため、タブーを排した
公正な検証が必要なのは間違いない。マスコミは今回の“プリウスミサイル”説をネット上の流言飛語として無視するのでなく、
大スポンサーであるトヨタにもメスを入れるべきだ。