10年ほど前の某雑誌に載っていた自動車評論家と接待について。

Q.自動車雑誌は、いいことばかり書いているものばっかりですが、
みな自動車会社に接待されるので、ああいう風に褒めるのでしょうか。
【神奈川県横浜市 匿名希望】

A.ご質問いただいたのは14歳の読者のかたで、他にも同じようなご内容を、
同年齢のかたから以前いただきました。
この世界の中にいるおれとしてはスルーしたほうが楽な、微妙に答えにくいテーマなので、
しばらく悩んでいたんですが、ご質問が重なったのを期に思い切って
やってみることにしました。
確かに新型車の試乗会とかでは、試乗時間によりますが、ご飯を出してくれたりします。
遠い土地でやったりするときなどは泊りがけになりますから、
その場合はアゴアシマクラ(食事代と交通費と宿泊費)をもってくれたりするときもある。
なのですが、そういうのが試乗評価と直接関係するかというと、
本質的にはそういうことではないと思っています。
というか、コトはそう単純ではないです。
つっても、最近よく使われる「大人の事情」て話とはちと違います。
まあ聞いてください。

〜省略〜

これはまずい。それは間違ってる。
自動車メーカーのひとたちにどう思われようと、義理も人情もブッチギッてヒトデナシになるしかないんです。
義理人情を踏みにじるヒトデナシはきっとロクな死にかたしねぇでしょう。
でもおれはそう覚悟を決めました。
だって、おれの仕事は読者の皆さんにクルマのことを伝えること。
それで原稿料を貰ってるんですから。
その原稿料は、元はといえば読者の皆さんが本を買うとき払ってくれたお金です。
実際の雑誌の収入源は広告料も少なくない割合を占めますが、
それでも実際に売れて読者に支持されてない本にお金を払って広告入れる会社はない。
基本はやっぱり読者の皆さんです。
であれば読者の皆さんにヒトデナシになってはいけない。そう思うんです。
それは筋が違うというやつです。
世間で言う大人の事情ってのは要するに妥協のことですが、
これは完全にそういうものとは違う。
筋道が根本的に間違ってるってことです。