どんな人生にも娯楽は必要だ。
年収1000万円なら、それなりの遊びを見つけるし、
年収200万円以下なら、やはりそれなりの趣味を持つ。
生活保護受給者にも享楽はある。

人はよく自分の趣味、嗜好を、自分の本質の中から出てきたものだと錯覚する。
しかし結局は、自分の収入や経済力に見合った趣味を、
その限られた選択肢の中から「チョイス」しているに過ぎない。
低収入層が海外旅行やビンテージカーを趣味に持たないのは単純にそのためであり、
生まれ持った気質や性格などは実はあまり関係がないのだ。

趣味、嗜好は、今までの人生と、現在の人生の反映である。

埼玉県久喜市に住む田中孝蔵(43)さんの趣味は小径自転車だ。

お世辞にも洒脱、清潔とは言えない服を着、靴を履き、田中さんは今日も小径自転車に乗る。
「身なりには金をかけない主義なんです」
と笑う田中さん。彼はそれを自らの主義主張だと信じる。

昼飯の牛丼にも小さなこだわりがある。
「つゆだくが好きなんです。紅生姜は山盛りが自分流」。
小径自転車に乗るのは意外にスタミナが要るのだと言う。
田中さんはこういったこだわりを多く持つ。