私の日本での自転車の先生二人、及び英国での私の師は3人とも灯油を使いませんでした。なぜか?

それは、「灯油には潤滑機能がまったくない」ということと、「灯油は蒸発温度が高く乾かない」
という2点が問題を起こすと教えられたからでした。
つまり、チェンのローラー、ならびにピボットの中に入った灯油は滅多なことでは蒸発せず、チェンの寿命を縮める、と私は教えられました。
日本の二人の師匠、そのうちの一人は競輪選手でしたが、もうひとりの英国の師匠もまったく同じことを言ったのは、なかなか興味深い。
しかも、この3人は、きわめて贅沢なことをやっておりました。しかも地球の裏と表でまったく同じことをやっていたのです。

どういうやりかたか、と言いますと、油のもれない大きめの容器に一缶数百円の安物の「水油」と言われるシャブシャブのチェンオイルを
なみなみと入れ、それで、ブタの毛のブラシのでチェンを洗っていました。
使ったあと数日経つと、汚れは下にたまって油は澄んできます、そうしたら、上の部分を再び取って、沈殿物(スラッジ)は捨てます。

灯油やガソリンの臭いが気になる人とか、また煙草を吸うような店主の自転車店は、1988年ぐらいまでは、こうしたチェン洗滌法を
やっているところがけっこう残っていました。