最近、友人の仏蘭西の自転車研究家のレイモン・アンリが新著を送ってきてくれました。
これは変速器の変化から仏蘭西の自転車の変遷の歴史を眺めた視点の研究書ですが、実に面白いことに気が付きます。

それは、
仏蘭西で「神格化されているシクロ・ツーリスト(自転車旅行者)はすべてアップハンドルに乗っている」
という「厳粛な事実です」。
日本語で言うサイクリストは「シクロ・ツーリスト」になります。

これはヴェロシオからはじまって、彼の弟子たちもみなそうです。
ヴェロシオは最晩年ドロップハンドルに乗っていましたが、その使い方は想像を絶します。
「ドロップハンドルの下を持ったとき、そこがアップハンドルのグリップの位置になっている」。
つまり上を持つと、もっと上半身が起きた「天神乗り」ポジションになるのです。
これはじつは数年前、ギネスブック・レコード達成の自転車世界旅行者ハインツ・シュトウッケが自分のドイツ製ロードスターのハンドルに梯子型の補助ハンドルを溶接してやったこととまったく同じ発想でしょう。