では,照度が明るさを表すかというと,実はそうではないからややこしい。照度は前述のように,そこへどれだけの光が到達しているかを示しているだけである。
私たちが目にしているのは,そこから反射されて自分のほうにきた光だけで,照度は目に感じない。
だから照度が一定でも反射しやすいものは明るく見え,光をあまり反射しないものは暗く見える,これが明るさの本質である。
ある位置から見たときの対象物の明るさは,「輝度」(単位はカンデラ毎平方メートル cd/m,)で表わす(図2)。
しかし, 輝度を用いての照明のプランや検証は大変面倒なので照度を利用することが一般的である。
しかし,照度は人が感じる明るさ感と一致しないことも多く,最近では空間としての明るさ感の数値化,照明プランや検証のツール化が研究され,活用が始まっている。
照度,輝度などすべての測光量は,単に光のエネルギー量の大小を測っているのではない。
人間の目に感じる光は電磁波の一部の領域で(図3),その領域の中でも波長により明るさの感度が異なるので,光測定器は人間の明るさ感覚に合うよう,国際的に決めた「標準比視感度」(図4)に合わせて,補正されている。


光のア・ラ・カルト J-Stage