英国では古来19世紀から英国の北の果てジョン・オウ・グローツから南の果てランズ・エンドまで、
不眠不休で連続走行して英国縦断する慣わしがあります。
これに当時のレコードホルダーが小系でチャレンジしました。
結果は完走出来ず。その中止地点までのタイムも良くなかった。
その後、もう一度同じ26インチでの記録保持者が小系でチャレンジしましたが、やはりプレストンのあたりでリタイヤ。
以後3度目はチャレンジされたことはありません。
ライダーは記録保持者のチャンピオンです。これは乗り手のせいではないでしょう。

これは「回転するタイヤの持っているちから」ということを考えた時、人間は最大出馬力を6秒ぐらいしか維持できないものです。
そのため、誰でも車輪の回転慣性を利用しながら休みながら走っている。
これを小系はするする速度が落ちてくるので出来ない。
人間エンジンの最高馬力は数秒しか出ませんし、人間は「はつかねずみ」のようにちょこまか連続で
いつまでも回し続けられません。どうしても車輪の慣性を利用して休みながら走るほかはないのです。

小径車で世界記録が出たのは200mとか400mスプリントにおいてのみです。
その理由は小さい車輪は加速時に質量が小さく回転円盤の腕が短くなるので有利である、
というのと、空力上のカウリングの取り付けが容易である、という2点によります。

「その2点以外にホイール径が小さくて有利なことはなにもない。車輪は大きいほど安定がいい。」
とは、同じく世界記録を破った自転車設計家マイク・バロウズの一言。
その時、やはり自転車絶対速度世界記録の鬼、チェスター・カイルも脇で聞いていてうなずいておりました。
ケンブリッジ大学の工学博士リチャードのエアニマルなどでも、同様の理由でホイールサイズは小径ながら大きめにしています。