アルミに比べて鉄の乗り心地がいいというのは、あくまでも1990年代後半にMTBやロードの世界で急激に台頭して
現在は街乗り自転車にまで完全に普及している超大径アルミフレームに比べて旧来の旧来の鉄フレームが、ということ。
アルミは鉄に比べて致命的に弱いのでそれを補うために大径パイプにしたら軽くて強いフレームになった。 
チューブの口径を2倍にしたら剛性は4倍になる。
焼入れ硬化処理をした6061アルミメガチューブによるフレームは軽量高剛性を両立。
踏めば反応する硬いフレームがとにかく好まれた時代であった。旧モデルより軽く硬くが正義。
完成車メーカーもコンポメーカーも、ロードでもMTBでもリアルレーシング路線以外眼中に無い。
そんな時代だった。

そのアルミファットチューブの元祖は米国にあった伝説のハイエンドMTBメーカー、クライン。
(トレックは後年、クラインの高度なアルミ技術を奪取する為に買収して傘下に加えた程である)
後に他社も追従してトレックとキャノンデールが極薄肉大径アルミファットチューブのファット御三家と呼ばれた。

現在もこの大径アルミフレームはそれこそクロスバイクなどの5万円の低価格自転車にまで普及しているのだが、
それらは素人が乗る車種のために耐久性の面から肉厚を増して本来の軽量性はかなり失われている。

つまりはかつてのレーシングバイクのアルミフレームのゴツい見た目という側面だけ表層的に模倣したものだが
素人の足代わり自転車にはそんな剛性は必要ないので、単なる重くて硬いだけの乗りにくい自転車でしかない。