>>177

私が自転車のことをやっているところへ、午後4時になると銀の紅茶セットに、
ちょっと気の利いたストークトン・トレントの皿にキューカンバー・サンドイッチを載せて、
焼きたてのスコーンにクロテッド・クリームとクーパーのジャムを添えて、
『お茶でございます』とやって来る。
午後3時半から30分ほどかけて用意したに違いない。

「すまないね、マドック。そうそう、ベインズに言っておいてくれないか、P4の空気圧が少し低い。
足しておいてくれ、明日ロンドンまで乗って行く用があるから。」
「かしこまりました。他に何か御用は?」
「スケッチリーでジャケットのクリーニングがあがっているはずだ。
引き取ってきてワードローブの服を夏ものにすべて入れ替えて置くように。
あとエドの店でシャツが出来上がっているはずだから引き取って来てくれ。
庭師のロングショーは今日は出て来ているのか?」
「はい。」
「テラスの植木の新芽の出方が遅い。植え替えて土を柔らくしておかないといけないね。
そういっておいてくれ。」
「Yes, my lord.夜のお食事はいかがなさいますか?」
「キジのローストにミントゼリーとクランベリーソースで良い。」


そんなことがあるはずがない(笑)。『すべて自分でやる』よりほかない。