良く知られている通り78年別大の宗茂の走りは驚嘆という他はなかった。その僅か2カ月前
の福岡で何とブービー(52位)で2:37:45もかけてゆっくり走った。おそらく途中でレースは
止めて練習に切り替えたのだろうけど、それにしてもこの急変ぶりには驚かされた。そもそも
別大の前からレースを作ると宣言して、鎌田、伊藤、喜多等夏に従来の10000の記録を上回る
記録で走ったスピードランナーに対抗意識むき出しで攻めのレースを貫いた。レース経験の
乏しかった喜多は最初からハイペースの第1集団にはつかなかったが、旭化成vs鐘紡の意地
のぶつかり合いみたいなレースであった。4人のエースランナーの中で最初に遅れたのは
猛だったがうまくまとめて僅かに自己新で2位。鐘紡の2人はスタミナ不足、特に鎌田は
25km近くまで茂に着いたが終盤崩れて14分台で4位、伊藤も13分台で3位だった。ブービー
と世界歴代2位(70年代最高)を出した茂はそれですっかり自信をつけたのか、以降安定した
成績を残すようになった。まさにマラソン王国復活の記念碑的レースであった。