「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」を観る。2017年の作品。69分。音響監督長崎行男、
監督・脚本・絵コンテ・演出菱田正和、CGディレクター乙部善弘、プリズムショー演出京極尚彦、
キャラクター原案&デザイン松浦麻衣、スペシャルサンクス井内秀治。これで三度目の視聴。
なお本作は、劇場版前後編アニメの後編扱いとなる。前編の「KING OF PRISM by PrettyRhythm」は
事前にほぼ視聴必須で、元ネタの「プリティーリズム レインボーライブ」全52話も視聴がまあ推奨される。
またレンタルDVDには、応援上映バージョンの本編も収録されている。楽しい。

巷に良い劇場版アニメはいくらでもあるし、素晴らしい劇場版アニメだって、探せば多少は見つかりもする。
だが観た俺の度肝を抜いた作品は滅多にない。本作がその一つだ。
一日に同一劇場版作品を、1dayパスを使わずに映画館で二回見たのは生涯で二作品だけだし、
もうひとつのも菱田監督の作品だ。

題材は魔法っぽさが加味されたフィギュアスケート+歌唱+ダンスショー(要は男アイドル)で、
主人公チームが大会で優勝を目指すという、部活ものっぽいシンプルな内容だ。
だが序盤から異常なノリがほうぼうに差し込まれていて、後半になるにつれ加速度的にその濃密さが増してくる。
黙示録とアンゴルモアのコンボあたりからはもうツッコミが追いつかない。電子ドラッグだ。
でたらめなまでの物凄さに、映画館の座席に物理的に押しつけられる錯覚を覚えた当時を、懐かしく思い出す。

これより俺を幸せな気分にした作品は、ことアニメにはただの一作もない。
これと同じくらい幸せにしてくれた作品も、子供時代を含めても本当にわずかしかない。
世界は本当にプリズムのきらめきに満ちているのかもなと、素直にそう思わせてくれる。
今回自宅のPCで本作を観た時は、ストーリーもわかっていることだし、かつてのようには俺の度肝を抜いてくれなかった。
だがその代わり、作品の圧倒的な力が前の二回よりも綿密に実感できた。
「度肝を抜かれた」という感想が落ち着くと「圧倒的だ」になるらしい。
そんな体験も生涯でこれまでほとんどなかった。映像の力とは魂消るばかりなものだな。
欠点をあえて挙げるなら、ホモ臭が結構強い点と、最後のヒロと店長のあれがかなり犯罪っぽい点か。