ゴーン逃亡、謎と今後 世紀の「痛快大脱走」に世界が興奮|日刊ゲンダイDIGITAL
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2020/1/04

■裁判所も公判維持に懸念
東京地検の請求を受けて東京地裁は即日ゴーンの保釈を取り消し。保釈保証金15億円は没収されることとなった。

元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏は言う。

「国際社会から“人質司法”と批判されるように、日本の検察のやり方は悪辣です。
ゴーン事件に関しては特別背任も、有価証券報告書に報酬を過少記載したとされる金融商品取引法違反についても無理筋。
検察と日産幹部が結託したデタラメ事件です。その上、一貫して否認するゴーン氏は100日以上も拘束され、ようやく保釈されてもキャロル夫人との面会も許されない。
金商法違反事件は4月に公判が始まる予定でしたが、特別背任は初公判の見通しすら立っておらず、こうした状況が何年続くのかもわかりません。
ゴーン氏の逃亡は残念ですが、原因の大半は検察がつくり上げたものだと言っていい。
そもそも、裁判所が保釈を認めたのは有罪に確証を持てず、長期無罪の可能性が高い被告人を長期勾留はできないと判断したためだとみています」

■オリンパス元社長も「完全理解」と擁護

 ゴーン逃亡劇は今後、どう展開していくのか。金商法違反事件の初公判は見通しが立たなくなった。
国策捜査には泣き寝入りしかなかったこの国で、映画そのものの劇的手法で日本の権力をコケにしたゴーンにはもっと暴れてほしい期待もある。
オリンパスの粉飾決算を告発した英国人のマイケル・ウッドフォード元社長が「公正な裁判を受けられるかに強い疑念がある」
「私が65歳で資産などを持ち、日本の刑務所で何年も過ごすことを考えれば失うものはあまりない。なぜ彼がそうしたか私は完全に理解できる」と賛意を示すなど、
国際社会でゴーン擁護の声は日に日に高まっている。

米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、ゴーンは逃亡前に自宅でハリウッド映画プロデューサーのジョン・レッシャー氏と面会。日本の司法制度を告発する映画の構想について話し合ったという。
ゴーンは著名人の裁判事例なども研究し、「有罪率99%」の日本の司法制度では公正な裁判は受けられないと確信したともされ、ゴーンの友人が映画化構想をめぐり、
「終わりはどうなるのか」と尋ねると、ゴーンは「驚きの結末になる」と応じたとの報道もある。
逆襲の準備を着々と進めていたゴーンは、8日にベイルートで会見を開く予定だ。

「御用マスコミに甘やかされ、独善的に振る舞ってきた(※日本の)検察に対する国際社会の風当たりはますます厳しくなる。果たしてまともに反論できるのか。
ゴーン氏は徹底的に戦うつもりでしょう。上層部が責任を問われる事態になるのではないか。
検察にできるのは、ゴーン氏と共に金商法違反で起訴したグレッグ・ケリー元取締役の公判維持に努めること。
その過程でゴーン氏の証言を得るべく、レバノン当局に協力を仰いで関係を積み上げるしかない」(郷原信郎氏=前出)

 ケリーの初公判は3月予定。その間、検察が猛烈な反撃に見舞われるのか。見ものである。