>>37
裁判例に現れた共謀の認定の仕方の分析としては、そうなんだろうね。それはそれで
興味深い。
ただ、「合意を形成することで実行行為に至るまでの心理的拘束をもたらした者ある
いは責任感を消失させて心理的障壁を除去した者には、実行者と同等の責任を負わせ
てもよい」と言うと、どうしてもそのような心理的拘束・責任消失状態を利用した個
人の行為に注目してしまう。その際は、間接正犯類似説+行為共同説みたいな感じに
なるんではなかろうか。
実行共同正犯にしても、「共同意思に基づく共同実行行為を把握し、個別の実行行為
ではなく、共同実行行為からの既遂結果惹起を問題とする」なら、そのようにして既
遂結果を共同実行行為に帰責できたとして、各人に成立する罪名は主観に応じて決ま
るという考え方にもつながり得る。これまた行為共同説だ。

下級審裁判例を良く知らないんだけど、たとえば、甲(強盗の故意)・乙(暴行の故
意)で被害者に傷害を負わせたが財物奪取はできなかった事案なんかで、甲に強盗傷
人罪の共同正犯・乙に傷害罪の共同正犯が成立させたものがないだろうか?

今後、このような間接正犯類似説・行為共同説的な視点からの「提言」がなされてい
くのではなかろうか。