刑法の勉強法■59
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いや、マジで。 不動産の場合は特に他人物を忌避していなければ、詐欺は成立しないはず。 >>307 あなたの書いていることは>>284 さんが書いてくれた学者の説明とは 異なりますね。私はこの議論から降ります。 >>310 規範的障害を理由に他人物への法律上の支配を否定したら、 そもそも横領罪の構成要件に当たり得る行為には規範的障害 が働いて常に「占有」が否定されることになる。 また、「占有」が否定されるから横領罪は成立しない→規範的障害なし →法律上の支配復活→構成要件該当→規範的障害復活→以下略 になって結論が出せなくなる。 >>311 これに関してだけはそこに挙げられた学者さん方(の書いた記述)がおかしいと 思います。文字通りに受け取ると非常に不合理になると思います。少なくとも 予備試験・新試で根拠を論証したうえでキッチリ当てはめるといった論述ができ るようなものではないです。権限が無いなら法律上の支配はない(理由付けなし) で言いっぱなしになってしまいます。 ほらね また学者が間違ってるwww 議論にならないから無駄よ だからそこに出てる学者と言うならここに出てない学者で同じ意見を提示せよと最初から言われてるのにコイツは都合が悪いことは完全スルーだからね 素人のオナニー理論に点数付くと思ってるんだからいいんじゃないの 勝手に脱落してくれるんだから とうとう自分の意見を通説とか言い出して笑う笑 通説の根拠はなんだよ やっと重い腰を挙げて百選各論8版を読み始めたが、初っ端の1事件(偽装心中と殺人罪: 昭和33年11月21日)で佐伯教授の学説分類ミスを発見した。 即ち、大谷説を、団藤、内田、平川、大塚、井田らとともに「本判決と同様に、被害者の自殺 意思は重大な瑕疵ある意思であって無効とする見解」(殺人罪説)に分類しているが、 大谷19頁は「被告人Xは、青化ソーダを準備してAに交付したとはいえ、Aは自殺意思を有して おり、XはAを自己の意思どおりに支配して自殺させたとはいえないから、自殺幇助罪で処断 すべきであったように思われる」としているので同説に分類するのは誤り。 因みにこの間違いは第7版から引きづっている。 誰か井田各論第2版のレビューしてくれませんか 買うか買うまいか迷ってます 元ベテは第2版読んでないみたいだし(>>301 ) >>318 アマゾンのレビューを見て来たが レビューが少なくてあまり参考にならなかった 百選各論8版コメント 7事件 凶器準備集合罪の罪質(昭和45年12月3日=清水谷公園事件) 1 本罪は「個人の生命、身体または財産ばかりでなく、公共的な社会生活の平穏をも保護 法益とする」と解されている。しかし、本罪が主として個人的法益に対する罪の予備罪的性格 を有していることは、@立法の経緯、A条文の位置―本罪が傷害の罪(第27章)に規定されて いること、B本条が個人の生命、身体または財産に対する加害行為を実行する以前の準備 段階を捉えてこれを処罰の対象としていること、に照らしてみても明らかである。また、本罪が 公共危険罪的側面を有していることも否定できないが、個人を超越した国家・社会を観念する ことは適当でなく、公共危険罪的側面は予備罪的側面との関係で、かつその枠内で認められ るべきである。 2 本事件では、共同加害行為の実行行為が始まった後に角棒を所持し加害行為に加わった 者にも本罪が成立するかが争われた。公共危険罪的性格を重視すれば、加害行為が開始さ れた後も、公共の危険が存続する限り本罪は成立するが、予備罪的性格を重視すれば、加害 行為開始の時点で予備罪たる本罪は終了するため、その後に参加した者には本罪は成立し ない(第一審) 3 昭和58年6月23日(アドセンター事件)は、本罪は抽象的危険犯であって、迎撃形態の凶器 準備集合罪が成立するためには、必ずしも相手方からの襲撃の蓋然性ないし切迫性を要せず 、凶器準備集合の状況が社会生活の平穏を害しうる態様で存在すれば足りる、としている (抽象的危険犯説)。これは、本罪の公共危険罪的性格を強調する立場からの帰結であるが、 本罪を第1次的には個人的法益に対する罪であると解する立場からは、共同加害の危険が現 実に発生したことを要求する具体的危険犯説が採られることになり、上のような場合には本罪 の成立が否定されることになる。 4 なお、「集合と共同加害目的」については、昭和52年5月6日(飯田橋事件)参照。 原作者に無断だが有益な情報なので転載する 144氏名黙秘2021/01/23(土) 06:57:25.76ID:pU4IGkUK>>145 刑法判例百選T・総論[第8版] 7版からの異同まとめ 【判例差替え】 侵害の急迫性:最判S52・7・21→最判H29・4・26 注意義務の存否・内容:東京地判H13・3・28→最判H29・6・12 過失の共同正犯:東京地判H4・1・23→最判H28・7・12 包括一罪か併合罪か→最判S62・2・23→最判H26・3・17 【判例追加】 強要された緊急避難:東京高版H24・12・18 過剰避難の成否:大阪高版H10・6・24 詐欺罪における実行の着手:最判H30・3・22 承継的共同正犯(2)→最判H29・12・11 教唆の意義:最判H18・11・21 幇助の意義:最判H25・4・15 【判例削除】 避難行為の相当性:東京高判S57・11・29 誤想過剰避難:大阪簡判S60・12・11 期待可能性:最判S33・7・10 結果的加重犯の共同正犯:最判S26・3・27 共犯と中止犯:最判S24・12・17 155氏名黙秘2021/01/23(土) 19:24:11.44ID:pU4IGkUK 刑法判例百選T・各論[第8版] 7版からの異同まとめ 【判例差替え】 ■強制わいせつ罪における性的意図:最判S45・1・29→最判H29・11・29 ■電子計算機使用詐欺罪(3):東京地判H7・2・13→東京高判H24・10・30 ■賄賂罪の客体:最判S63・7・18→最判H24・10・15 ■参考人の虚偽供述と証拠偽造罪:千葉地判H7・6・2→最判H28・3・31 【判例追加】 ■同時傷害の特例:最判H28・3・24 ■保護責任者遺棄罪における「不保護」の意義:最判H30・3・19 ■2項強盗における財産上の利益(3):東京高判H21・11・16 ■強盗致死傷罪における強盗の機会:東京高判H23・1・25 ■詐欺罪と財産的損害(4):最判H26・3・28 ■わいせつ電磁的記録送信頒布罪の成否:最判H26・11・25 ■死体遺棄罪の成否:大阪地判H25・3・22 ■参考人の虚偽供述と犯人隠避罪の成否:最判H29・3・27 【判例削除】 ■自殺関与罪と殺人罪の限界:福岡高判H元・3・24 ■危険運転致傷罪:最判H18・3・14 ■事後強盗罪の予備:最判S54・11・19 ■逃走中の暴行と強盗致死傷:最判S24・5・28 ■顔写真の使用と人格の同一性:最判H11・12・20 ■わいせつ物の意義:最判H13・7・16 ■販売の目的の意義:最判H18・5・16 ■公務執行妨害罪における「暴行」の程度:最判S33・9・30 ■仮処分の公示札の有効性:最判S62・9・30 ■強制執行妨害罪と債務名義の存在:最判S35・6・24 >>322 転載しないでって言ってるのになんでするかね こういうことされると書く気が無くなる このスレは既に元ヴェテ氏が百選8版の評釈書いてるんだからこのスレで知りたいならそっちにお願いすればいいでしょ 百選各論8版コメント(曽根110頁以下に依拠:学部生レベル) 26事件 窃盗罪の保護法益(平成元年7月7日) 1 窃盗罪(奪取罪)の保護法益については、これを所有権その他の本権とする本権説(内田、 曽根、林幹人、松宮)と、物に対する事実上の支配であるとする占有説(川端、前田、木村光江) が対立している。 本権説は、その根拠として、@民法上保護される権利だけを刑法も保護すれば足りること、 A235条の「他人の財物」とは「他人の所有物」の意味に解されること、したがって、B242条は 例外規定であり、そこにいう他人の「占有」とは権原(法律上の原因)に基づく適法な占有だけ を意味していると解されること、を挙げている。これに対して、占有説は、@所有と占有の分離 という現象が顕著な現代社会においては、まずもって占有それ自体が保護されなければなら ないこと、A235条の「他人の財物」とは、「他人の占有物」と解されること、したがって、B242条 は注意規定であり、そこにいう「占有」は赤裸々な占有一般を意味すると解されること、をその 根拠に挙げている。 2 判例は、大審院時代、窃盗罪を含む奪取罪の保護法益を本権と解していた。例えば、@大正 7年9月25日は、債権の担保として無効な恩給年金証書を債権者に交付した後、債権者を騙して 証書の占有を回復しても詐欺罪は成立しない、とした。戦後の最高裁の時代に入ると、占有説 的傾向を示す判例が現れるようになった。すなわち、A詐欺罪に関する昭和24年2月15日(隠匿 物資)、B恐喝罪に関する昭和25年4月11日(連合国占領軍物資)、C窃盗罪に関する昭和26 年8月9日(密造酒)、などである。そして、D昭和34年8月28日は、公傷年金の受給者が法令上 担保に供しえないその証書を債券担保のために債権者に差し入れた後これを騙取した事案に ついて、@を明示的に変更して詐欺罪の成立を認め、ここに判例が占有説を採ることが明らか となった。E昭和35年4月26日は、Dを踏まえ、窃盗罪についても占有自体を保護法益と解し、 行為者に権原がある場合にも窃盗罪が成立しうることを明言した。このような流れの中で登場 したのが本事件である。 百選各論8版コメント−新規収録判例を中心として 6事件 同時傷害の特例(平成28年3月24日) 本事件の争点は、207条は傷害致死罪にも適用されるか、適用されるとして、その範囲・適用 方法如何である。 西田47頁は、207条は傷害罪についてのみ適用されるのか解するのが「通説」としているが (大塚、大谷、中森、曽根、山中)、判例は、傷害致死罪にも207条が適用されるとしている (昭和26年9月20日) 控訴審(名古屋高判平成27年4月16日)・本決定は、本事案に207条を適用し、A・B・Cともに 傷害致死罪としているが、207条が予定しているのは、発生結果について誰も責任を負わない 事態になりかねないケースであるとすれば、本事件では、Cが死の結果について刑事責任を 負うのであるから、207条の適用を否定される(大谷、西田、山中)。実際、第一審(名古屋地判 平成26年9月19日)は、207条の適用を否定して、A・Bを傷害罪、 Cを傷害致死罪とした。 207条が「疑わしきは被告人の利益に」の原則に対する例外であることは明白であるから、その 適用の要件は厳格に解すべきであり、第一審に正しい核心がある。 なお、直近の判例として、令和2年9月30日がある。 「他の者が先行して被害者に暴行を加え,これと同一の機会に,後行者が途中から共謀加担 したが,被害者の負った傷害が共謀成立後の暴行により生じたものとまでは認められない場合 であっても,その傷害を生じさせた者を知ることができないときは,同条の適用により後行者は 当該傷害についての責任を免れないと解するのが相当である」 承継的共同正犯に関する著名な判例である平成24年11月6日は、この種の事例における207条 の特例の適用について明らかにしていなかったが、本決定はこれを明らかにしたものと思われる。 百選各論8版コメント−新規収録判例を中心として 41事件 2項強盗における財産上の利益(東京高判平成21年11月16日) 本判決は、キャッシュカードの暗証番号を聞き出す行為につて、2項強盗の成立を認めた 初めての高裁判例である。地裁レベルでは。神戸地判平成19年8月28日がある。即ち 「キャッシュカードとその暗証番号を併せ持つことは、ATMを操作してその預貯金残額の範囲 内で金銭の払戻しを受ける地位を得ることであるといえ、このような経済的利益は、同条(236条) 2項にいう『財産上不法の利益』として財物と同様に保護するのに十分な具体性、現実性をもった 利益であるとみるのが相当である」。また、詐欺の事案であるが、欺罔により、キャッシングカード を用いて消費者金融会社から利用限度額の範囲内で何回でも繰り返し金銭を借り入れることが できる地位を得たことにつき、2項詐欺の成立を認めた東京高判平成18年11月21日がある。 ところで、「事実の概要」にもあるとおり、原審(さいたま地判平成21年6月1日)は、@「預貯金の 払戻しを受け得る地位」を得ただけでは「財産上の利益」といえないこと、A暗証番号を聞き出し ただけでは、その「地位」が被害者から被告人に完全に「移転」したとはいえないことから、2項 強盗罪の成立を否定し、強要罪の成立のみ認めた。これに対し、本件控訴審は、@、Aともに 肯定し、2項強盗罪の成立を肯定した。 しかし、「預金債権に対する支配力が弱まる」という程度の事実上の不利益の発生で十分かどうか には疑問がある。むしろ、原審のいうように、財産上の利益の「移転」の直接的効果としての 「不利益」が生じることが必要であり、「預貯金の払戻しを受け得る地位」は、いまだ「利益」の 移転には当たらないと解すべきである。 本件控訴審の解釈は、財産罪を危険犯化するものである(山中) 百選各論8版コメント−新規収録判例を中心として 44事件 強盗致死傷罪における強盗の機会(東京高判平成23年1月25日) 強盗致死傷罪の死傷の結果のついては、@本罪を結果的加重犯とする立場を基礎にして、 強盗の手段たる暴行・脅迫から生じたものであることを要するとする見解もあるが(手段説= 瀧川)、本罪は、強盗の際には、殺人・傷害が行われる場合が多いことを考慮して作られた 犯罪類型であるから、そのような限定にはなじまない。 他方、A死傷の原因である行為が強盗実行の機会に行われたものであればよいとするのが 通説・判例であるか(機会説=団藤、藤木、昭和24年5月28日)、これは広すぎるであろう。 これによるならば、本来の犯罪類型として予定されていない、❶強盗犯人が私怨を晴らすため に強盗の機会を利用して人を殺害した場合、❷強盗犯人が逃走の際に誤って赤ん坊を踏み 殺した場合、❸強盗犯人が、強盗の際に仲間割れして共犯者を殺害した場合などにも本罪の 成立が認められることになるからある。 したがって、B強盗行為に通常付随するそれと密接な関連性のある行為から生じる必要がある であろう(密接関連性説=大塚、大谷、山中) この見解に対しても十分な限定とはいえないとして、C強盗の手段たる暴行・脅迫と事後強盗 類似の状況における暴行・脅迫に限定するという見解も唱えられ(西田)、さらに、D死傷の 結果は、財物の奪取・確保・維持ないし逃走のための行為から発生し、その遂行の障害となる 者に発生したことを要するとする見解も主張されている(井田・基本講座、山口・問題探究も同旨か) >>329 判例の立場でもそのような場合は犯意の継続性で切れるから広すぎるという批判は妥当ではないかと >>330 肝心な箇所が文字化けしてしまったので書き直します。 「死傷の原因である行為が強盗実行の機会に行われたものであればよいとするのが 通説・ 判例であるか(機会説=団藤、藤木、昭和24年5月28日)、これは広すぎるであろう。 これによるならば、本来の犯罪類型として予定されていない、@;強盗犯人が私怨を晴らすため に強盗の機会を利用して人を殺害した場合、A;強盗犯人が逃走の際に誤って赤ん坊を踏み 殺した場合、B;強盗犯人が、強盗の際に仲間割れして共犯者を殺害した場合などにも本罪の 成立が認められることになるからある。 @、A、Bとも、強盗の現場で、強盗の実行行為継続中に、したがって強盗の故意継続中に 起こった出来事なんだよ。「犯意の継続性」では切れないのではないか。 それと「犯意の継続性」云々は誰が言ってるの? >>331 ええ… これほんとに前からいる元ヴェテ氏? 元ヴェテ氏って司法試験の範囲を超えた学説や理論の話を大展開して板チと言われたりもしたけどそれは刑法理論に明るいことは皆に認められてた上でだったと思うんだけどこんなにきちんと文献も読んでなければ基礎知識にも乏しい人だったっけ? この前の独自説押し付けの荒らしが出たときも勉強不足とか言ってあまり要領得た書き込みしてなかったし あなたはわざわざ百選8版のコメントと題して書き込んでるのにその判例の解説すらまともに読んでないのでしょか? さらに犯意の継続性は他の論点でも出てくるワードなのにきちんと理解出来てないし あなたが挙げた例は犯意の継続性で強盗の機会性が切れる典型例なんだが >>332 批判は甘んじて受けます。むしろ建設的批判は歓迎します。 各論はあと2件投下してひとまず終わります。 しばらく間をおいて総論にとりかかります。 スレを独占して悪かった。 百選各論8版コメント−新規収録判例を中心として 51事件 暴力団とゴルフ場(最判平成26年3月28日刑集68巻3号582頁) 本事件では、詐欺罪の成立が否定されているが、同日に出された類似の事案−暴力団員の ゴルフ場利用―についての決定では、詐欺罪が肯定されている(最決平成26年3月28日刑集 68巻3号646頁)ので、両者を比較し、結論の分岐点を探りたい(以下、本事件を「否定判決」、 後者の決定を「肯定決定」という) 両者に共通するのは、利用細則や利用約款で暴力団関係者の利用を禁止していたことである が、本事件(否定判決)のゴルフ倶楽部では、出入口に「暴力団関係者お断り」の立て看板を 設置している程度で、利用にあたり暴力団関係者でないことを誓約させたり、その旨確認する 措置は講じられておらず、暴力団関係者を排除する取組みが徹底されていなかった。 これに対し、肯定決定のゴルフ倶楽部では、入会審査にあたり暴力団関係者を同伴・紹介しな い旨誓約させるなどの方策を講じていたほか、暴力団排除情報をデータベース化するなどの 取組みをしていた(井田277頁以下参照)。決定要旨は以下のとおりである。「入会の際に暴力 団関係者の同伴,紹介をしない旨誓約していた本件ゴルフ倶楽部の会員であるAが同伴者の 施設利用を申し込むこと自体,その同伴者が暴力団関係者でないことを保証する旨の意思を 表している上,利用客が暴力団関係者かどうかは,本件ゴルフ倶楽部の従業員において施設 利用の許否の判断の基礎となる重要な事項であるから,同伴者が暴力団関係者であるのに これを申告せずに施設利用を申し込む行為は,その同伴者が暴力団関係者でないことを従業 員に誤信させようとするものであり,詐欺罪にいう人を欺く行為にほかならず,これによって施設 利用契約を成立させ,Aと意を通じた被告人において施設利用をした行為が刑法246条2項 の詐欺罪を構成することは明らかである」 百選各論8版コメント−新規収録判例を中心として 119事件 参考人の虚偽供述と証拠偽造罪(平成28年3月31日) 参考人が取調べの際に虚偽供述をすることが証拠偽造にあたるか。判例の主流は@消極説 に立つ(昭和28年10月19日、千葉地判平成7年6月2日―第7版122事件)。その根拠は、 (@)104条にいう「証拠」は、有形の「証拠方法」(参考人・書面)に限られ、無形の「証拠資料」 (供述・記載内容)を含まない、(A)宣誓した証人のみを処罰する偽証罪との権衡、(B)偽証 罪には自白減免があるが、より軽い証拠偽造罪にはないことなどである(詳しくは、只木誠・ 刑法の争点(2007)256頁) 学説では、判例と同様、@消極説(団藤、平野、藤木)が支配的であったが、A積極説(大塚、 内田)も主張されている。近時では、虚偽供述が録取されて供述調書が作成されるに至った場合 は証拠偽造罪にあたるとするB書面限定説が有力である(大谷、曽根、西田、山口、山中)。 しかし、事情聴取における供述が書面に転化したことにより証拠偽造罪としての可罰性を肯定 すると、実際上、事情聴取において真実を述べることを強制することに帰することとなる(井田)。 これは、やはり行き過ぎであり、前掲千葉地判平成7年は、明確にB書面限定説を否定している。 即ち「参考人が捜査官に対して虚偽の供述をすることそれ自体が、証憑偽造罪に当たらないと 同様に、供述調書が作成されるに至った場合であっても、やはり、それが証憑偽造罪を構成する ことはあり得ない」 本事件では、結論として証拠偽造罪が成立するとしているが、それは、本事件の特殊事情(決 定要旨の「しかしながら、」以下)によるものであって、一般論としては、@消極説に立ち、B書面 限定説を否定している。 成文堂書店の近刊案内より。 2月 『イギリス刑法の原理』 同志社大学イギリス刑事法研究会 訳 本体価格9,500円 978-4-7923-5322-3 百選執筆者の変更(総論その1) 1 刑罰法規の解釈 浅田和茂⇒高橋則夫(早稲田) 3 両罰規定と法人の過失 田中利幸⇒今井猛嘉(法政) 5 不作為による放火 吉田敏雄⇒平山幹子(甲南) 10 第三者の行為の介在と因果関係(2) 山中敬一⇒照沼亮介(上智) 15 因果関係の錯誤 伊東研祐⇒和田俊憲(東大) 16 実質的違法性(久留米駅事件) 奥村正雄⇒佐久間 修(名学) 17 可罰的違法性(マジックホン事件) 振津⇒小田直隆行樹(神戸) 19 自救行為 須之内克彦⇒二本柳 誠(名城) 20 安楽死 辰井聡子⇒甲斐克則(早稲田) 22 被害者の同意 松宮孝明⇒佐藤陽子(北大) 23 侵害の急迫性 今井猛嘉⇒橋爪 隆(東大) 24 防衛の意思 佐久間 修⇒田山聡美(早稲田) 29 誤想過剰防衛 酒井安行⇒坂下陽輔(東北・准) 34 責任能力の基準 林 美月子⇒林 幹人(学習院) 36 実行行為と責任能力 小池信太郎⇒三上正隆(愛知) 37 過失犯と原因において自由な行為 丸山 治⇒水留正流(南山・准) 38 故意犯と原因において自由な行為 長井 圓⇒嘉門 優(立命館) 44 事実の錯誤と法律の錯誤(1) 石井徹哉⇒金子 博(近畿・准) 45 事実の錯誤と法律の錯誤(2) 内田博文⇒齊野彦弥(横国) 48 違法性の意識 齊野彦弥⇒一原亜貴子(岡山) 百選執筆者の変更(総論その2) 51 予見可能性の意義(1) 大塚浩史⇒星 修一郎(都立) 53 予見可能性の意義(3) 山口 厚⇒古川伸彦(名古屋) 62 強制性交等罪における実行の着手 西村英二⇒原口伸夫(駒澤) 64 早すぎた結果発生 古川伸彦⇒小池信太郎(慶應) 67 不能犯(2) 和田俊憲⇒渋谷洋平(熊本・准) 74 間接正犯 松生光正⇒品田智史(阪大・准) 75 共謀共同正犯(1)−練馬事件 高橋則夫⇒亀井源太郎(慶應) 78 共同正犯と幇助犯(2) 植村立郎⇒森永真綱(甲南・准) 86 間接幇助 平山幹子⇒小島秀夫(大東文化) 88 幇助の因果性 林 幹人⇒内海朋子(横国) 89 中立的行為と幇助 塩見 淳⇒高橋直哉(中央) 92 共犯と錯誤(2) 豊田兼彦⇒渡邊卓也(筑波・准) 93 共犯と身分(1) 照沼亮介⇒神例康博(岡山) 97 共犯関係の解消(2) 橋爪 隆⇒曲田 統(中央) 100 接続犯 関 哲夫⇒岡西賢治(日大・准) 106 いわゆる「かすがい」理論 亀井源太郎⇒小坂亮(東洋・准) 107 共犯と罪数 星 周一郎⇒本庄 武(一橋) 刑法各論[第2版] (法セミLAWCLASSシリーズ) 松原芳博 (著) 税込価格:4,840円 出版社:日本評論社 発売日:2021/03/19 サイズ:720ページ ISBN:978-4-535-52540-5 2016年3月刊行の初版以降、強制性交等罪を初めとする性犯罪に関わる 大規模な法改正がなされた。これら改正法の詳細を踏まえた解説の更新 をはじめ、判例の動きをフォローするだけでなく一層のわかり易さを 追求した改訂版。詳細さと読みやすさのバランスを意識した記述であり、 刑法各論の基本書でありつつ、同時に刑法全体を俯瞰するうえでも価値 のある一冊。各章で登場する事例をまとめ、「事例集」として巻末に 一括収録した。 刑法における結果回避可能性について 日本とドイツの比較から(仮題) 林?珊 [著] (日本評論社) 本体価格:(予定)5500円 ページ数:208p Cコード:3032 発売予定日:2021-03-31 ISBN:9784535525542 判型:A5 日本とドイツの学説を整理・検討し、結果回避可能性の実体とその判断の 論理構造を明らかにしてその体系的位置づけと意義を試みる。 刑法における未必の故意 日・独比較法史研究 玄守道・著 (法律文化社) 判型:A5判 頁数:276頁 発行予定:2021年3月 定価:本体6,400円+税 [予価] ISBN:978-4-589-04137-1 ドイツと日本の学説・判例を歴史的、包括的に検討することを通じて、 「未必の故意」についての現在の学説の認識枠組みと概念を明らかに し、未必の故意と認識ある過失の区別に関する基準を提示する。 橋本正博『「行為支配論」と正犯理論』いまさらながら読了。 ロクシン総論や内田『刑法における過失共働の理論』を事前に読んでいたので、 当たり前のことしか言っていないと感じたが、 行為支配論が広く知られるようになったのは本書の功績でもあるのかな? と感じた。 >>345 橋本といい井田といい福田平といい、目的テキ行為にかぶれた奴らは… 社会的行為論に立つっぽいけど、 目的的行為論の影響を多大に受けているというべきか。 社会的行為論と言っても、 「意思によって支配可能な、社会的に意味ある身体の動静」(総論26頁) と、意思による支配を強調するので、佐伯千仭・米田泰邦らの 社会的行為論とは一線を画する。 ちなみに、佐伯千仭は行為とは、 「何らか社会的に意味のある人の態度」とされる。 法セミLAWCLASSシリーズ 刑法各論[第2版] 松原 芳博 著 (日本評論社) 予価:税込 4,950円(本体価格 4,500円) 発刊年月:2021.03(中旬) 旧ISBN:4-535-52540-5 判型:A5判 ページ数:720ページ 基本原理から判例の分析まで、事例の分岐を通じて考え方をしっかり 学べる定評ある基本書。大規模な法改正を踏まえた信頼の第2版。 刑法と生命(放送大学テキスト) 和田 俊憲・著 (放送大学教育振興会) 価格:税込2,750円 発売日:2021/03/10 サイズ:A5並製/208ページ ISBN:978-4-595-32266-2 刑法における結果回避可能性について 日本とドイツの比較から 林 ワンサン 著 (日本評論社) 予価:税込 5,500円(本体価格 5,000円) 発刊年月:2021.03(下旬) ISBN:978-4-535-52554-2 判型:A5判 ページ数:208ページ 日本とドイツの学説を整理・検討し、結果回避可能性の実体とその判断の 論理構造を明らかにしてその体系的位置づけと意義を試みる。 終末期医療、安楽死・尊厳死に関する総合的研究(日本比較法研究所研究叢書) グンナー・デュトゲ、只木 誠 [編] (中央大学出版部) 本体価格:(予定)6300円 ページ数:528p Cコード:3332 発売予定日:2021-03-25 ISBN:9784805708231 判型:A5 本書は、2019年10月5日(土)・6日(日)に開催されたシンポジウムの 記録集である。終末期医療をめぐる法の問題は今や世界各国における共通 かつ喫緊の課題であるところ、本書収録の講演では人間の尊厳、治療中止、 積極的臨死介助、患者の指示書(リビングウィル)、終末期医療、臨死介 助協会という6つのテーマについて、日独の第一線で活躍する研究者を迎え て報告が行われ、比較法的観点からこれらの問題について分析・検討が加 えられている。ドイツ側からは近年の法改正に基づいた、今後の日本の立法・ 法改正に向けた重要な提言も行われており、日本の今後の議論の進展と考察 の展開に向けて貴重な示唆に富んだ一冊である。 成文堂書店の近刊案内より。 3月 『間接正犯と謀議』 市川 啓 著 本体価格5,000円 978-4-7923-5327-8 『刑事立法の動向と法解釈』 山田道郎先生古稀祝賀論文集 中空壽雅/上野正雄/辻脇葉子/黒澤 睦 編 本体価格8,000円 978-4-7923-5323-0 『賄賂規制と刑事法理論』 閻 冬 著 本体価格5,000円 978-4-7923-5324-7 刑事法判例読解の視点 河村 有教、佐藤 建、杉本 正則、明照 博章、吉中 信人 編著 (晃洋書房) 出版年月日 2021/03/30 ISBN 9784771034808 判型・ページ数 菊判・226ページ 定価 本体2,700円+税 中国・四国地区の研究者と裁判官による刑事法判例研究会における 報告から15件をピックアップし、違う立場からのコメントを付して 多角的な視点で裁判例の意義を読み解くことができるよう工夫した、 協働作業の成果。刑事法をより立体的に理解できる、判例学習の 新たな入門書! 百選総論8版コメント−新規収録判例を中心に 23事件 侵害の急迫性(平成29年4月26日) 1 本決定は、学説の発展・下級審判例の蓄積を踏まえて、正当防衛に新たな定義を与えた。 即ち「刑法36条は、急迫不正の侵害という緊急状態の下で公的機関による法的保護を求める ことが期待できないときに、侵害を排除ための私人による対抗行為を例外的に許容したもので ある」。これは、公的機関による法的保護を求めることが期待できるときは、対抗行為に出る ことなく、侵害を回避しなければならないことを意味する。西田134頁は、優越的利益保護の 原則の修正原理として、「回避義務の原則」を挙げており、近時では、橋爪・悩みどころ90頁が 「被侵害者が正当な利益を犠牲にすることなく、予期された侵害を容易に回避できた場合には、 回避すべき危険が現実化しているにすぎないとして、侵害の急迫性を否定すべきである(侵害 回避義務論)」としている(既に、橋爪・正当防衛論の基礎(2007年)305頁以下) 2 積極的加害意思で防衛行為に出たときは、急迫性の要件を欠くとするのが確立した判例 である。即ち、昭和52年7月2日は「その機会を利用し、積極的に相手方に対し加害行為をする 意思で臨んだときは、もはや侵害の急迫性の要件は充たさない」としたのである。しかし、積極 的加害意思は、行為者の内心的・主観的な問題であり、急迫性という外形的・客観的な状況を 認定すべき性質のものではない。しかし、その後52年決定は確立したものとなった。もっとも、 平成20年5月20日は、積極的加害意思を認定し急迫性を否定すべき事案につき、積極的加害 意思と急迫性の要件を切り離して判示し、判例変更が期待された(大谷275頁) しかし、本事件は「対抗行為に先行する事情を含めた行為全般の状況に照らして検討すべき である」としつつ、「行為者がその機会を利用し積極的に相手方に対して加害行為をする意思 で侵害に臨んだときは」侵害の急迫性の要件を充たさないと判示した。かくして、52年決定は、 いよいよ確固たるものとなったのである。 百選総論8版コメント−新規収録判例を中心に 31事件 強要された緊急避難(東京高判平成24年12月18日) 1 本判決は、強要による行為に緊急避難(37条1項本文)を適用して無罪とした初の判例で ある(同じく強要事例であるオウム真理教リンチ殺人事件に関する東京地判平成8年6月26日 は、過剰避難を認めたにすぎない) 2 従来、強要緊急避難の問題は、子供を誘拐した犯人Aから「子供を殺されたくなかったら、 銀行強盗をして1億円奪ってこい」と云われた父親Bは、子供の生命を救うために、緊急避難 として強盗を行うことができるか、という橋田教授の説例(法学論叢)について議論されてきた (山口151頁、松宮158頁、佐伯190頁、高橋322頁など) 3 橋田教授自身は、強要者と被強要者との間に不法の一体性・連帯性が認められるので、 法秩序の確証が妨げられ、緊急避難による違法性阻却は認められない、とされる。松宮教授 は、背後者の不法への連帯という橋田教授の理由づけは否定しながらも、この事例における 法益衝突を媒介するのは強要者Aの意思のみに過ぎず、このような「二律背反」は、社会が 「相当」と認めたものではない、として緊急避難を否定される。 4 これらの見解の基礎には、この場合に緊急避難が成立すると解するならば、当該行為は 違法性阻却説によれば適法となるから、これに対する銀行側からの正当防衛はできないと いう帰結は妥当でないという理解がある。 5 しかし、緊急避難の要件すべてが肯定されるならば、緊急避難の成立を認めざるを得ない だろう(山口151頁、高橋322頁。佐伯190頁は、この見解が「通説」であるとする)。自然現象に よる危難と人の強制による危難とを区別する理由はないのである。したがって、銀行側は、 正当防衛はできないが、緊急避難による対抗はもちろん可能である(山口・問題探究112頁) また百選評釈してるのにその百選の解説もろくに読んでない上に基礎的なことも把握してないで無駄に長文連投する荒らしコテハンきたのか 百選各論8版コメント(学部生レベル) 10事件 監禁罪の保護法益(京都地判昭和45年10月12日) 1「監禁」とは、一定の区域からの脱出を著しく困難にすることをいう。継続犯の典型であり、 途中から加わった者にも共犯が成立し、どの時点でも正当防衛が可能である(なお、平成17年 に法定刑の上限が5年から7年に引き上げられた。いわゆる新潟女性監禁事件(平成15年7月 10日)のような重大事案の影響である) 2 「著しく脱出困難にする」とは、部屋に鍵をかけるなど有形的方法による場合が典型である が、甘言を用いて居室に連れ込み睡眠薬を服用させて眠り込ませた場合も監禁罪に該当する (東京高判平成11年9月1日)。これに対し、労働争議において十数名で被害者を取り囲む行為 は、監禁に該当しないとした例がある(東京高判昭和36年8月9日) 3 昭和33年3月19日は、騙して車に乗せ、気づいた被害者が停止を要求したのに無視して 疾走した事案につき、監禁の方法には「偽計によって被害者の錯誤を利用した場合も含む」 とし、被害者が気づく以前をも含め監禁罪を認めた。現に意思に反して自由を奪われていな くても、一般人からみて類型的に「行動の自由を奪う行為」であれば、監禁罪の成立は認め られる(強姦目的を秘して自動車に乗せて走行した事案に関する広島高判昭和51年9月21日 も同じ)。判例は、基本的には「本当のことを知ったら乗らなかったであろうから、被害者の自由 は侵害されている」と考えている(可能的自由説)。ただ、昭和38年4月18日は、家まで乗せて やると騙してオートバイの荷台に乗せて疾走した事案につき、被害者が「降ろして欲しい」と 要求した以降の行為のみを監禁罪と評価しており(現実的自由説)、整合がとれていない。 4 評者である佐藤陽子教授は「この判決からは、京都地裁が現実的自由説を否定し、可能的 自由説に依拠したと断言することはできない」とするが(23頁)、その真意は不明である。 百選各論8版コメント 15 強制わいせつ致傷罪の成否(平成20年1月22日) 1 181条は、強制わいせつ罪、強制性交等罪等から死傷の結果が生じた場合の結果的加重 犯である。傷害には、通常の創傷、挫傷、擦過傷等の他、処女膜裂傷も含まれる(昭和25年 3月15日)。キスマークをつけることも生理機能の障害に該当する(東京高判昭和46年2月2日) ただ、本罪の法定刑の高さからして、軽度の内出血などは本条の傷害には含まれないと解す べきである(大阪地判昭和42年12月16日) 2 法文からも明らかなように、死傷の結果が生じれば、わいせつ行為等が未遂でも致死傷罪 は成立する。わいせつ行為未遂罪を犯し、「よって」死傷の結果を生ぜしめれば足りる。181条 に未遂はない。 3 死傷の結果は、わいせつ行為等から生じた場合のみではなく、手段たる暴行・脅迫から生 じた場合も含む(昭和43年9月17日)。これらの行為と死傷の結果との間に相当因果関係が あればよいから、被害者が逃走中に転倒して負傷した場合を含む(昭和46年9月22日)。 4 判例は、さらに広く、わいせつ行為等後に逃走を容易にするための暴行から傷害を負わせ た場合にも、その暴行・脅迫がわいせつ行為等に「随伴する」といえるとして本罪の成立を認 めている(明治44年6月29日、大阪高判昭和62年3月19日、東京高判平成12年2月21日)。 「随伴する」とは「時間的・場所的接着性があるか、意思の同一性があるかなどの諸要素が 総合考慮された上で」判断すべきものとされている(三浦透「判批」ジュリ) 5 しかし、本罪は、強盗致死傷罪と異なり、「よって」という結果的加重犯を明示する文言が あるのだから、わいせつ行為等の基本行為に内在する危険の範囲で結果的加重犯を認める べきである(大谷、西田。井田も同旨か) 百選各論8版コメント(学部生レベル) 16事件 住居侵入罪の保護法益(昭和58年4月8日) 1 住居侵入罪は、戦前は「住居権者の意思に反して違法に其の住居に侵入するに因りて 成立する」とされていた(大正7年12月6日=旧住居権説) 2 しかし、戦後、「住居侵入罪の保護すべき法律上の利益は、住居等の事実上の平穏であ る」と判示されるに至る(昭和49年5月31日、昭和51年3月4日)。住居権説は、憲法の理念に 反する家父長権と結びついており、住居権を誰に帰属させるのかも不明確であるという強い 批判に応じたものである(福田・注釈)。学説上も平穏侵害説が通説とされた(小野、瀧川) 3 しかし、本判決は「刑法130条前段にいう『侵入し』とは、他人の看守する建造物等に管理 権者の意思に反して立ち入ることをいう」として、再び保護法益を管理権者の権利とするに 至る(新住居権説)。新住居権説を支持する学説は、平穏侵害説に対して、@平穏概念は 「社会の平穏」に結びつきやすく、社会的法益の残滓が見られ、A侵入行為の態様、侵入 目的を重視する点で行為無価値的であり、Bそもそも「平穏」の内容が曖昧であると批判し、 同時に住居権は戦前の家長権とは無関係に構成し得ると主張した(平野、中山) 4 ただ、最近の判例は、住居侵入罪の成否に際し、基本的に住居権説に立脚しながらも、 「私生活の平穏」をも重視している(平成20年4月11日=防衛庁立川宿舎事件、平成21年11月 30日=17事件)。図式的な二項対立は、実情に即さないのである。 5 なお、評者の十河教授は、住居権説対平穏侵害説の対立を「意思侵害説」と「平穏侵害説」 の対立として捉えている。さらに、18事件の関教授は、「意思侵害説」「客観的平穏侵害説」 「主観的平穏侵害説」に分類している。 百選各論8版コメント 20事件 公共の利害に関する事実の意義(昭和56年4月16日) 21事件 名誉毀損罪における事実の真実性に関する錯誤(昭和44年6月25日) 1 1947年、表現の自由と名誉の保護との調和を図るため、「真実の摘示」を不処罰とする230条 の2が新設された。要件は、@事実の公共性、A目的の公益性、B真実の証明である。被告人 に真実であることの挙証責任が転換されている。 2 20事件は「私人の私生活上の行状」であっても、「事実の公共性」の要件を充たす場合が あるとした。また、「表現方法や事実調査の程度」などは「目的の公益性」の認定に際して考慮 すべきだとした。さらに、本件の差戻後第1審は「目的の公益性」につき、法文には「専ら」とある が、「主たる動機」が公益目的であれば足りるとした(評者の臼木教授は批判的) 3 真実性の挙証責任を被告人に負わせていることからは「犯罪は成立し処罰のみが阻却され ているにすぎない」とも考えられえる(処罰阻却事由説)、しかし、真実の言論について違法性 を認める点に疑問があるとして。学説上は違法性阻却事由説が有力であった。 4 処罰阻却事由説によれば、真実性の証明に失敗した以上、いかに十分な取材に基づいた 表現であろうと処罰を免れない。これに対し、違法性阻却事由説によれば、悪意からでなく真実 だと思って摘示した以上、違法阻却事由を構成する事実に錯誤が生じたのであり、故意責任を 問いえないということになる。ただ、真実と軽信した者まで不可罰とする結論は、本条が名誉の 保護を図ったことと相容れない。 5 そこで、両説の中間に位置する「相当な根拠に基づいた摘示であれば、真実と証明し得な くても不可罰とする」という見解が広く承認されていく。このような学説の動きの中で、処罰阻却 事由説に立脚した先例を変更し、この中間説を採用したのが21事件である(平成22年3月15日 も参照) 百選各論8版コメント 23事件 公務に対する業務妨害(平成12年2月17日:塩見淳) 24事件 威力業務妨害罪の成否(平成14年9月30日:曲田統) 1 公務についても、業務妨害罪は成立する。公務員の職務を暴行・脅迫により妨害した場合 について公務執行妨害罪(95条1項)が規定されているため、大審院は、公務は業務に含ま れないとして、業務妨害罪の成立を否定していた(大正4年5月21日=教育勅語事件)。最高裁 も戦後当初は、業務に公務は含まれないとして、現行犯逮捕しようとした警察官に暴行・脅迫を 加える行為に業務妨害罪は成立しないとしていた(昭和26年7月18日) 2 昭和30年代に、旧国鉄職員の業務を妨害する行為については、業務妨害罪が成立すると した(昭和35年11月18日、昭和41年11月30日)。警察官の逮捕行為のような権力的公務は業務 に含まれないが、鉄道の運行のような非権力的・私企業的公務は含まれるとしたのである(公務 振分け説=団藤、藤木) 3 しかし、議会の活動や消防署の事務(平成4年11月27日)を「私企業的でない」として、業務 妨害罪の対象から除くことは妥当でない。そこで判例は、県議会の委員会の条例案採択等の 事務の妨害に関し、「強制力を行使する権力的公務」ではないから業務に当たるとした(昭和 62年3月12日)。@公職選挙法上の選挙長の立候補届出受理事務(23事件)、A路上の 段ボール小屋等を撤去するなどの環境整備工事(24事件)は、強制力を行使する権力的公務 ではなく「業務」に当たる。 4 もっとも、24事件の事案では、反対する路上生活者やその支援者を警察官が実力で排除・ 連行しており、強制力が現に行使されていた。塩見教授は、この点を捉えて「そのような公務の 把握により、強制力説は実体を失ったに等しい」と評している(49頁)。他方、曲田教授は、留保 付であるが「本件事実の本質に合致した適切な事実整理がなされたものといいうる」としている (51頁) 成文堂書店の近刊案内より。 4月 『規範論と理論刑法学』 高橋則夫 著 本体価格10,000円 978-4-7923-5330-8 4月 『少年法、融合分野としての』 服部 朗 著 本体価格3,000円 978-4-7923-5331-5 スレちだけど、河上先生の債権各論講義、とうとう不当利得かw 百選各論8版コメント 29事件 死者の占有(昭和41年4月8日) 1 人が死ねば、財物に事実上の支配を及ぼし得なくなるので、死亡後に財物を奪う行為は、 せいぜい占有離脱物横領に過ぎないということになるはずであるが、窃盗罪、さらには強盗罪 の成立の余地がある。ただ、以下の3類型に分けて考察する必要がある。 @ はじめから財物奪取の意思で殺害しその後に財物を奪う場合 A 殺害後に初めて財物奪取の意思を生した場合 B 殺害者以外の第三者が死体から財物を奪う場合 2 @の事案は、強盗殺人の既遂となる。240条につき、財物を得たと否とにかかわらず殺人 が完成すれば既遂となるとする解釈が有力だからである。Bの事案、たとえば、被害者が殺害 されるのを物陰から見ていた第三者が死体の財物を奪ったという場合、学説は一致して占有 離脱物横領とする。被害者の事実支配を自ら消滅させて奪う殺害者と、占有喪失状態を惹起 していない第三者とでは、占有侵害の有無という法的評価に差がある。判例も同様の見解と 見られる(昭和16年11月11日) 3 実際上、最も問題となるAのような場合には、殺人罪に加えて窃盗罪が成立すると解する。 本判決が云うように「被害者が生前有していた財物の所持はその死亡直後においてもなお継続 して保護するのが法の目的にかなう」からである。つまり、「被害者からその財物の占有を離脱 させた自己の行為を利用して右財物を奪取した一連の被告人の行為は、これを全体的に考察 して、他人の財物に対する所持を侵害したもの」と云い得る。本判決には「端的に被害者が生前 に有していた占有に着眼して、それを侵害する行為を死亡の前後にわたり全体的に監査すれば 足りる」とする、団藤572頁の影響が見られる。もっとも,、学説上は、Bの事案との均衡を重視す る占有離脱物横領説が多数説といえようか(大谷、西田、平野、山口、山中など)。なお、藤木 302頁は、強盗罪が成立するとする。 百選各論8版コメント 42事件 暴行後の領得意思(東京高判平成20年3月19日) 1 故意犯である強盗罪は、当初から財物奪取の意思で暴行・脅迫を加えて強取することに より成立する。それ故、暴行・脅迫を加え被害者の反抗が抑圧された後の段階で、財物奪取 の意思が新たに生じた場合は、奪取行為は強盗ではなく窃盗となる(昭和8年7月17日、高松 高判昭和34年2月11日、東京高判昭和48年3月26日)。被害者の抵抗できない状態に乗じた だけでは足りず、犯人がその意思を生じた後に、被害者の抵抗を不能ならしめる暴行・脅迫 に値する行為がない以上、強盗とはいえない。 2 ただ、判例には、強制性交等(強制わいせつ)犯が、現場で婦女の畏怖に基づいて提供 した金品を取得した行為を強盗とした例がかなり見られる(昭和19年11月24日、昭和24年 12月24日、東京高判昭和57年8月6日)。強制性交等後に財物を奪う場合には、被害女性に 強い恐怖心が生じており、犯人が留まっていること自体が、反句を抑圧する脅迫行為とも 見られ、財物を要求したり、物理力を伴って財物を奪取すれば、反抗抑圧状態を維持継続 したり新たな暴行脅迫を行ったと認定し得る場合が多い。 3 強制性交等の場合に限らず、犯行抑圧後にそれを利用して財物を奪う場合には、新たな 暴行・脅迫行為を伴うことが多い。すでに反抗抑圧状態が生じている場合には、より軽度の 暴行・脅迫が強盗の手段たり得るからである。本事件も、このような文脈で理解することが できる。 百選各論8版コメント 28事件 窃盗か占有離脱物横領か(平成16年8月25日) 1 窃盗罪で要求される事実上の支配には、現実的な握持までは仏要ない(昭和32年11月8日)。 家の中の物については、現に手に持っていなくても、占有がある。占有の有無についての実質 的判断基準は、@財物自体の特性、A占有者の支配の意思の強弱、B距離などによる客観的 物理的な支配関係の強弱である(前田164頁参照) 2 被害者が意識して特定の場所に置いた場合には、置いたことを失念した場合等に比較して より広い占有が認められる。駅構内のバスの待合室に鞄を置いたまま200mほど離れた構内 食堂へ約50分間行ったところ、様子を窺っていた者がこの鞄を奪った場合、遺失物でないこと を十分知りながら奪取した以上、窃盗罪に当たる(名古屋高判昭和52年5月10日) 3 意識して置いた場合に比し、置き忘れたり落としたりした場合には、事実上の支配の範囲 は限定される。鉄道列車内で置き忘れた場合(大正15年11月2日)や、自転車を路上に放置し その場所を失念した場合(仙台高判昭和30年4月26日、東京高判昭和36年8月8日)に、被害者 の事実上の支配が否定された。 4 しかし、置き忘れと時間的・場所的に近接した場では、状況により占有が認められる。バス を待つ行列の移動中に傍らに置き忘れたカメラを約5分後、20m離れたところで気づいた場合 には、なお被害者の実力支配は及んでいる(昭和32年11月8日)本事件も、約200m離れた駅 の改札付近まで2分ほど歩いたところで、置き忘れに気づいた事案であった。 5 もっとも、被害者がスーパー6階のベンチ上に財布を置き忘れたまま地下1階に移動した 場合、被害者が財布を置き忘れた場所を明確に記憶していたとしても、被害者の支配力が及 んでいたとはいえないとされた(東京高判平成3年4月1日)。これに対し、飲食店地下1階に 置き忘れた携帯電話に関し、占有が肯定された例がある(東京高判平成21年7月1日) 何だコイツ 新規収録判例を中心にしてじゃなかったのかよ笑 邪魔だから荒らさないでよ 刑法スレもすっかり過疎ってるね せめて元ヴェテさんにはアンチのレスを気にすることなく 専門の?総論も頑張って欲しいところだ アンチって笑 信者はこれ全部読んで為になるなあと思ってるのか 百選総論8版コメント−関西の共犯論の立場から 73事件 被害者を利用した殺人(平成16年1月20日) 1 暴行・脅迫にもとづく同意 暴行・脅迫によって得られた殺人に対する被害者の「同意」が意思の自由を著しく侵害した が故に無効であるとき、自殺関与罪(202条)ではなく、殺人罪(199条)が成立する。 従来、同意を無効とする暴行・脅迫の程度は、実務上、かなり高度なものであり、強制された 選択肢に従う以外にないというほどに、自由な意思決定の可能性が失われたことが必要であ ると解されていた(園田教授が引用する広島高判昭和29年6月30日、浦和地判昭和46年1月 26日)が、本決定は、自由な意思決定の余地があっても、同意は無効であるとしたということが できる。 2 被害者の意識的行為の利用による実行の着手 被害者の意識的な自己危殆化行為を利用する場合でも、利用者によってその行為が支配 されているとき、被害者の行為はかなりの確実性をもち、被害者の自己危険行為を開始させ た時点で実行の着手が認められる。このような行為者の指示に従う確率の高い精神状態に あり、その行動を行為者に支配されていた場合には、行為者に実行行為性が認められる。 このような場合、被害者の行動は、行為者に「支配」されており、行為支配を有する者に実行 行為性と正犯性が認められることは疑いない。したがって、そのような支配にもとづき、被害者 が外形的に当該構成要件の実行行為を開始したときに、行為者の実行の着手も認められる。 3 被害者自身の行為の利用と間接正犯 本事件は、被害者を用いた間接正犯とも云えるが、むしろ直接正犯と解することもできる (浅田446頁)。被告人が被害者に自殺意思があると誤信していたとしても、それを強度の威迫 で強いたのは被告人であるから、園田教授が引用する昭和59年3月27日の事案に近い。 百選総論8版コメント−関西の共犯論の立場から 77事件 共同正犯と幇助犯(1)(昭和57年7月16日) 78事件 共同正犯と幇助犯(2)(福岡地判昭和59年8月30日) 1 区別の意義 正犯と共犯の概念上の区別については、学説が分かれている。また、共謀共同正犯を認める か否かによって、共同正犯の範囲が大いに異なり、共謀共同正犯論からは、共同正犯と従犯 の区別をどのような基準で行うのか理論的にも困難な問題が生じる。従犯の刑は必要的に 減軽されるのであるから、両者の区別は、その法的効果の面でも大きな差をもたらす。 2 判例の検討 判例は、基本的に、自己の犯罪か他人の犯罪かという基準を用いる。最高裁は、77事件で 共謀共同正犯を認めたが、ここでは、「本件犯罪が自分のための犯罪であった」ことが「本人 がその犯罪実現の主体となったものとみとめるための重要な指標のひとつになる」(団藤裁判 官の意見)とされ、主観説に立っている。 下級審の判例では、このように、自己のためにする意思かどうかが正犯と従犯の区別に重要 な役割を果たしている。判例の中には、実行行為の一部を行っている者であっても。正犯者 意思がないために従犯にすぎないとしたものが少なくない(東京高判昭和50年2月4日など)。 78事件も、このような「実行行為を行う従犯」の一事例である。 3 学説の検討 「自己のためにする意思」か「他人のためにする意思」かによって正犯と従犯を区別しようとす る主観説は、形式的・客観的な区別基準とは云い難い。実質的客観説には、行為支配説と 重要な役割説があるが、前者は行為支配の概念が曖昧であり、後者については、重要か重要 でないかといった漠然とした基準では恣意的判断に至らざるを得ないことから、いずれも採る ことができない。結局、構成要件に該当する行為(実行行為)を行った者が正犯であり、それ 以外の行為で関与した者が共犯であるとする形式的客観説が妥当である(浅田、山中) 百選総論8版コメント−関西の共犯論の立場から 75事件 共謀共同正犯(1)(昭和33年5月28日) 76事件 共謀共同正犯(2)(平成15年5月1日) 1 判例の概観 75事件および77事件を合わせて、積極的態様の参加によって初めて共謀に参画したとい えるとするのが判例の立場であると評されてきた。ところが、76事件は、拳銃等所持罪につき 単なる認容・認識と黙示的な意思の連絡のみで共謀共同正犯を認めた。これについては、 積極的態様の参加とは到底認められない点で、75事件および77事件の「基準を逸脱し、共謀 共同正犯を無限定に拡散させるもの」と評された(浅田和茂・本百選T〈第6版〉153頁)。たしか に、現に所持しておらず、所持の意思も有しない者に。所持罪の共同正犯を認めることは大い に疑問である。 2 学説の概観 75事件を契機として共謀共同正犯を肯定しつつ、それを一定の範囲に制限しようとする一連 の学説が現れた。その第1が、藤木英雄の間接正犯類似説である。同様の発想の下に主張 されたのが、平場安治の行為支配説、大塚仁の優越支配共同正犯説、団藤説(77事件の 団藤補足意見)である。 もうひとつの限定の動きは、平野龍一の重要な役割説、西田典之の準実行共同正犯論で ある(各説の内容とそれに対する批判は、紙幅の関係で割愛せざるを得ない。各自の基本書 を参照されたい) 3 共謀共同正犯否定説、 共謀共同正犯否定説は、行為共同説(中山研一など)のみならず、犯罪共同説(香川達夫)、 共同意思主体説(曽根威彦)からも主張されている。オイラは行為共同説に立つが、共同正犯 の正犯性を根拠づけるのは実行行為であり、60条は実行共同正犯のみを許容する規定と解す べきである。 授業中 刑法演習 われら考える、故にわれらあり 高橋 則夫 [編] (信山社出版) 本体価格(予定):2200円 ページ数:248p Cコード:3332 発売予定日:2021-03-30 ISBN:9784797228021 判型:46変形 ◆本格的な演習書に進む前に、典型的・基礎的な事例を処理 する能力が身につく、とことん平明な説明にこだわった演習書◆ 「本書は,典型的・基礎的事例を素材にした演習本であり,分厚い 教科書を読む際に,肌身離さず携帯して使用すれば,皆さんの明るい 未来が確実に到来すること間違いありません。」(はしがきより)。 本格的な演習書に進む前に,典型的・基礎的な事例を処理する能力 を身につけることが大事だとの認識の下,刑法総論・各論につき, とことん平明な説明にこだわった演習書。高橋則夫著『授業中 刑法 講義』の姉妹書。 百選総論8版コメント−関西の共犯論の立場から 74事件 間接正犯(昭和58年9月21日) 1 本決定は、品田准教授の云うとおり「刑事未成年の利用の場合に間接正犯が否定される 余地を認めた」点に意義がある。後の平成13年10月25日(スナックホステス強盗事件)も併せ 読むと、刑事未成年に是非弁別能力がある場合、@意思が抑圧されていればその利用に 間接正犯が成立し、A意思が抑圧されていなければ共犯の成立が問題になる、と整理できる。 また、刑事未成年を利用する場合に一律に間接正犯とするのではなく、共犯(教唆犯)にとどま る可能性があることを認めた点で「判例は極端従属性説を捨てて制限従属性説をとるように なったのではないか」(佐伯仁志376頁)とも評された。平成13年決定は、これを確認したもの である。 2 ところで、「関西の共犯論」は、共謀共同正犯を否定するだけでなく、純粋惹起説の立場 から、原則として間接正犯も否定する。徹底的否定説は、@他人の無過失の行為を利用する 場合も、A情を知らない被害者を利用する場合も、すべて(間接)正犯ではなく、共犯である とする(佐伯千)。これに対して、「規範的障害」が介在する場合にのみ、正犯性を否定する 見解もある(植田、中)。上記@、Aの場合は、共犯ではなく、正犯であるとする。いずれの見解 からも、本決定の被告人と平成13年決定の被告人は、教唆犯となる。現在、原則として間接 正犯を否定する見解は、浅田教授(本百選T〈第5版〉147頁)と山中教授(山中・総論865頁 以下)によって主張されている。 3 間接正犯否定説(無用論)は、「正犯概念」の弛緩を防ぎ、可罰性の範囲を限定しようと するのであるが、この説に対しては、逆に、「共犯概念」を弛緩させ、共犯としての可罰性を 拡大するという批判が加えられている(井田良・犯罪論の現在と目的的行為論、山口厚・問題 探究) 百選各論は往来危険関係は平成15・6・2があるのみで 三鷹事件載ってないのな 125条〜127条の論点てんこ盛りなのに 三鷹事件の論点  一 刑訴第三七九条にいう「訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼ すことが明らかである」の意義 二 刑法第一二七条にいう「前条」には刑法第一二六条第三項を含むか 三 刑法第一二六条第三項にいう「人」には車外の人を含むか 四 刑法第一二七条にいう「汽車又は電車」には刑法第一二五条の犯行に供用されたものを 含むか 五 過失致死の結果的加重犯について死刑を定めた刑法第一二七条は憲法第一三条、 第三六条に違反するか 六 刑訴第四〇〇条但書によるいわゆる自判の限界 七 被告人が犯罪の実行者であることについて自白のみによる認定は憲法第三八条第三項 に違反するか 八 日本国有鉄道職員の争議禁止は憲法第二八条に違反するか 九 刑訴法第三七九条の法意 一〇 判決に影響を及ぼすことが明らかでない訴訟手続の違法ある判決と憲法第三一条 一一 第一審の訴訟手続の違法が判決に影響を及ぼしたことが明らかといえない場合と 刑訴第三七九条 一二 憲法第三八条第二項にいう「不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白」にあたら ない一事例 一三 控訴申立をした検察庁の検察官が作成した控訴趣意書を控訴裁判所に対応する 検察庁の検察官が提出することは違法か 京大行為無価値の人が総論の全分野に渡って書くとか誰以来だろう >>390 あまり評判を呼ばなかったけど 鈴木茂嗣教授が総論の教科書を書いてるよ もともと刑訴の人だけど 最高裁の判例を読むとき、補足意見と反対意見は分かるのだが 単なる「意見」って何 ? 反対意見と同じこと ? 法人処罰と刑法理論 増補新装版 樋口 亮介 著 (東京大学出版会) 税込6,380円、本体5,800円 ISBN978-4-13-031199-1 発売日:2021年05月20日 判型:A5 ページ数:240頁 独占禁止法違反などの経済犯罪を中心として,企業活動から生じる問題が 大きな課題となる時代状況を背景に,1990年代以降,法人処罰の在り方が 盛んに論じられている.本書は,法人処罰をめぐる議論を比較法的知見を 踏まえて理論的に検討し,刑法理論上での位置づけを明らかにするととも に,その具体的要件を構築する.「法人処罰の系譜的考察」(2009年発表) を補論として加え,待望の復刊. 成文堂書店の近刊案内より。 4月 『行政刑法』 小谷利恵 著 本体価格6,000円 978-4-7923-5325-4 成文堂書店の近刊案内より。 5月 刑事法研究 第21巻 『刑事法の問題群T』 川端 博 著 本体価格9,000円 978-4-7923-5328-5 刑事法研究 第22巻 『刑事法の問題群U』 川端 博 著 本体価格9,000円 978-4-7923-5329-5 >>396 多数意見 ウニは旨味がありおいしい 補足意見 ウニにはグルタミン酸による旨味がありおいしい 意見 ウニは(イノシン酸による)甘味がありおいしい 反対意見 ウニはおいしくない うま味と甘みは違うから多数意見は形成されていないんじゃないの? 中山研一 純粋京大系ではないが 総論各論出したパワーは偉大 >>408 京大教授時代に刑法の講座を担当したことがないという意味ではないか ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
read.cgi ver 07.5.4 2024/05/19 Walang Kapalit ★ | Donguri System Team 5ちゃんねる