>>301
「団体・組織の有する金銭の管理をまかされた者は、銀行預金口座の
通帳と印鑑を所持していることで口座の中の預金に対する占有(いわ
ゆる預金の占有)をもつ」…この言い方は少し曖昧。解釈が分かれて
しまう。
→解釈1…「管理をまかされた者は、預金の占有を持つ。その理由は
  『管理をまかされた者』は『通帳と印鑑を所持』しているからで
   ある」。
   →これだと、管理をまかされた者(=払戻権限を有する者)で
    あっても、通帳・印鑑の所持を失えば預金の占有を失う。
    通帳・印鑑の所持こそが重要なのだとすれば盗取者でも預金
    の占有が認められる。
→解釈2…「『管理をまかされ』且つ『通帳と印鑑を所持』する者には
      預金の占有が認められる」
    →これだと管理の委託(払戻権限の授与)と通帳・印鑑の所持
     がともにないと預金の占有は肯定できない。よって盗取者に
     は占有はない。

どちらの解釈が正解なのかは文章から明白ではない。
不動産登記の場合には、単なる名義人(=正当な処分権限なき者)でも
登記があるだけで法律上の支配が認められていることからすれば、解釈1が
整合的ということになる。でもそうすると払戻権限が宙に浮いてしまい、結局
通帳と印鑑の所持だけで占有ありになるじゃないか、となる。