昨年3月末の東京ミネルヴァの未払金20億500万円の相手先はリーガルビジョングループの広告会社(株) Lawyer’s Agent〔港区(東京ミネルヴァと同所)〕が16億8800万円、キャリアエージェンシーが2億6000万円、DSCが5500万円となっている。

 また、同グループについては業務の一部が非弁活動にあたる可能性も指摘されている。
一弁ならびに上部団体の日本弁護士連合会(日弁連、荒中会長)も、弁護士が広告会社に業務を丸投げしているうちに操り人形になってしまうという想定外の事態を問題視。

 すでに東京ミネルヴァの社内資料をすべてリーガルビジョンの管理下にある事務所から運び出し、全容解明に乗り出しているもようだ。
一弁の寺前会長は「全国で広報活動を展開し、多数の依頼者から過払い金の請求やB型肝炎の裁判を受けたまま業務を停止した。調査の結果、過払い金の保管状況に不明な点があり、依頼者に返還することが困難な状態に陥っている疑いがあることも判明した。多数の依頼者に甚大な不利益を与えるもので弁護士法人として到底許されるものではなく、弁護士会としても厳粛に受け止めている」とのコメントを出した。

 しかし、前出の事情通によれば「兒嶋氏の実質支配下にある事務所は東京ミネルヴァだけではない」という。
都内や大阪のいくつかの弁護士事務所と司法書士事務所が実質的に支配下にあるとされ、同様の問題が起きている可能性が高い。
士業の資金管理や外部業者への業務委託のあり方、弁護士法人や司法書士法人の財務諸表の会計監査・公開制度の必要性なども含めた抜本的な制度改革の議論が求められる。
「東京ミネルヴァ事件」は多数の被害者を出すことになっただけでなく、法曹界に難しい課題を突き付けたといえそうだ。