>最判昭56・4・8は,道路交通法に違反した者が,交通切符を切られる際,あらかじめ他人の承諾を得ておいたうえ,交通事件原票の供述書欄の末尾に当該他人の氏名を署名して,
>その供述書を作成したという事案につき,交通事件原票中の供述書は,その文書の性質上,名義人以外の者が作成することは法令上許されないものであって,
>これを他人の名義で作成した場合は,あらかじめその他人の承諾を得ていたとしても,私文書偽造罪が成立する旨を判示しました。

刑法概念としては無形偽造なのであらかじめ代理を与えておけば私文書偽造に当たらないとの反論の余地はあるが(私文書の場合有権代理は内容の不実でしかないので掲示で扱うほどではない)
ただし最高裁判例は、文書作成が当人によるべきものである必要がある場合には上記の通り私文書偽造を認めていますね
本件ハンコ名義偽装は、最終文書のハンコではなくISOに基づいて作る途中のチェックシートのような文章だと推測しますが、その場合、名義人による検査印でなければ検査したことを表すことができないので上記判例に該当しかねません

ただ検察官は通例では、多額の民事賠償を受けており、反省の色を示している法人に対しては安易な処罰は行わない点注意が必要です
いかに刑法該当行為であろうと検察官の有する広域裁量権である起訴便宜主義は超えられません
あくまで信用低下という意味合いで用いられるべきでしょう