http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070729i101.htm
 経済産業省は28日、自動車メーカー10社と共同で、自動車のエンジンなどを動かす電子制御装置に組み入れる「基本ソフトウエア(OS)」の開発に乗り出す方針を決めた。週明けにも発表する。

 パソコンのOSは米マイクロソフトの「ウィンドウズ」が世界を制覇しているが、自動車では欧州勢が先行している。
これまで日本企業はそれぞれが独自開発に取り組んできたが、共同開発で、一気に世界標準を狙う。

 トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどの主要自動車メーカーや部品、電機メーカーが参加する自動車用ソフト開発の共同事業体「JasPar(ジャスパー)」に、経産省が開発を委託する。
来年度予算の概算要求に十数億円程度の委託費を盛り込む方針だ。2009年度には、試作品を完成させ、5〜10年後の実用化を目指す。

 自動車には、エンジンの燃料噴射の制御を始め、ブレーキ、エアバッグ、パワーステアリング、パワーウインドーなどで多数の電子制御装置が使われている。
OSはその装置を動かすための基本的なソフトだ。

 現在、世界最大手の自動車部品メーカー、独ボッシュの自動車用OS「オーゼック」が、世界市場の約7割を占め、自動車版の「ウィンドウズ」になりつつある。
さらに、BMWやダイムラー・クライスラーなど欧州勢は共同で、次世代OSの開発に取り組んでおり、08年には試作品が完成する見込みだ。

 一台の自動車に搭載する電子制御装置の数は1980年代は5個程度だったが、現在では30個を超えており、一部高級車では100個を超える。
自動車の製造原価の2割程度が電子・電気部品で、エンジンとモーターの切り替えなど複雑な制御が必要なハイブリッド車では5割近くに達する。
世界の自動車は約9億台にのぼり、仮に自動車用OSの標準を日本が握れば、これに適合する部品や応用ソフトなどで商機は飛躍的に拡大すると期待されている。

(2007年7月29日3時0分 読売新聞)