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2017年8月17日の読売新聞、南こうせつの記事

 歌詞は女性の言葉でつづられていますが、「貴方(あなた)のやさしさが怖かった」の部分だけは、実は作詞家の喜多條忠さん自身の言葉だそうです。
 若き日、学生運動に参加していた喜多條さんがデモから帰ってくると、同棲中の彼女が、食事をつくって待っていてくれた。
その幸せの中に自分が埋没しそうになっていく。心地いいんだけど、自分の志が見えなくなってゆく怖さを感じたと言っていました。
 ぼくが喜多條さんから、この話を聞いたのは15年以上たってから。40歳を過ぎたあたりです。
 それまで、ぼくは恋愛が成就することが怖いんだと思っていました。つまり両思いになるといつか恋愛は終わる。
だから、あなたのやさしさが怖いんだと、そう思ってずっと歌っていました。
 それが喜多條さんから「違う」って。でも、歌詞というのは、聴いた人が、その人なりの受け止め方をすればいいんだと思います。