果たして本当か考えてみた
ある国立大学にABCの3つの学部があって難易度はA>B>Cの順、定員は3ブロック分、倍率はそれぞれ3倍、合否分布が以下のようになってるモデルを考える。
左の方がレベルが高く1が最も高成績の受験生。■が合格者=入学者。□は不合格者、とする。

 1 2 3 4 5 6 7 8 9
A■■■□□□□□□
B_■■■□□□□□□
C__■■■□□□□□□

仮にこの大学が私大と同様に全学部併願可能になったらどうなるか。
全受験者が3学部すべて併願する、他大学への流出は無し、合格者は必ずA>B>Cの優先順位で入学する、と仮定すると以下のようになる。

A学部
 1 2
A■■
B_■
C__

B学部
 1 2 3
A□□■
B_□■
C__■

C学部
 1 2 3 4
A□□□■
B_□□■
C__□■

□=上位学部への辞退者 ■=入学者

輪切りのように組み変わる。
当初の合格者と比べてみよう。

まず最初の図のA学部のレベル4で落ちていた受験生がC学部に合格できるようになっている。
逆にC学部のレベル5で受かっていた受験生が合格できなくなっている。

これは大学全体としてみると最低ラインが切りあがったことを意味し難化したといえる
学部としてみてもABCどの学部も最低合格ラインが切りあがっている。これも難化と言えよう。
つまり私大方式の複数受験ができるようになると難化すると言える。

ではメリットはないのか。ある。
前述の通り、A学部のレベル4で落ちていた受験生がこの大学に入学できるようになる。
より一般化して言えば学部別のボーダーを気にせずに受けることができ出願戦略で合否が左右されなくなる。
(例えば理1落ちたが理2なら受かっていたということがなくなる)

また、受験回数が増えるため大数の法則により実力がより発揮されすくなる。
1度しか受けられない場合、例えばレベル1の実力をもっていてもその1回を失敗したらもうこの大学には入れない。あと2回受けられればちゃんと実力が発揮されてどこかに合格する可能性が高まる。
ミスや運(実力発揮のブレ)の影響が薄くなると言ってもいい。

ただし、C学部の当落線上にいるレベル4の受験生にとっては運の影響が薄くなることはない。彼らにとってのチャンスは実質1回のみだから。

まとめ
・乱れ打ちできると難易度が下がるというのは本当か → 嘘。逆に難易度=合格に必要な最低学力水準は上がる。
・合否が出願戦略と運(実力発揮のブレ)に左右されにくくはなる。
・大学全体のボーダー近辺にいる受験生にとっては運による影響は軽減されない。