数年前、息子が学校からかえるなり
「お父さんの仕事は立ってるだけの仕事なん?」と聞かれた。
どういうことなのか、意味がわからなくて聞いたら学校の先生に

○×君(息子)のお父さんは警備員だから、旗を振ったりただ立っているだけの仕事をしている、それは間違っている、

というような意味のことを言われたらしい。
俺は何も言わなかった、うまく言えなくて、自分にもガッカリした。

警備員が悪いことなのはわかっている、だけど警備をする必要があると言えなかった。けど、どうも嫁が何かを言ったらしいが息子に何を言ったのか知らない。
でも、確実に嫁が何かを
息子に言ったのは分かる。
次の日、息子が言ってくれた。
「僕も警備員になりたい、
 お父さんになりたい」
って、
早口で言って早足で逃げていった。
あいつがどんな将来を選ぼうと構わない。
ただ一瞬でも俺を目指そうとしてくれた、その瞬間があることが幸せだと思った。