今や高校野球界をリードする存在になった大阪桐蔭には毎年、入部希望者が殺到する。ボーイズやシニアのチームからの売り込みも多いが、「全ての選手を見に行くことはできない」と、試合の映像などをDVDで送ってもらうこともある。

 部員数は1学年20人が基本で、80人前後から絞り込む。目が行き届く練習を考えてのことだが、「(同学年で)ベンチ入りできない選手を極力つくりたくない」との思いもある。

 野球部員は全てスポーツ推薦で入学する。ただ、学業をおろそかにすることを西谷は嫌う。「野球の技量に優れていても、そういう生徒は採らない」

 さらに、重視するのが野球への情熱だ。「上手な子はたくさんいる。でも、本当に野球が好きな子って、減っているように感じる」

 たとえ、その野球センスにほれ込んでも、寮生活を嫌がるような生徒には固執しない。「練習に打ち込める環境があるのに、そこまで野球が好きじゃないのか、本気じゃないのかと感じてしまうと指導に情熱が注げない」というのが理由だ。