■売り手市場で言いやすい

「特に今年の就活から、転居を伴う転勤のない仕事がいいという声が男子学生にも増えた印象です」

就活支援のディスコキャリタスリサーチの上席研究員で、就活生のヒアリングなどを行う武井房子氏は言う。

2018年春卒業予定の今年の就活で、何が起きたのか。

「政府の働き方改革と売り手市場です。まず、3月には(時間外労働に上限を設けた)働き方改革の実行計画が出されました。
企業セミナーでも『残業はどのくらいありますか』と学生が聞くことは、タブーではなくなりました。
どんな仕事かだけでなく、どういう働き方かがフォーカスされた」と、武井氏は指摘する。

さらに世の中の有効求人倍率は1.52倍(8月)とバブル期超え。ディスコ調べでは10月1日時点で、
2018年春卒予定の大学生・大学院生の就職内定率は92.7%とこの時期では調査開始以来、過去最高だ。
就活を通して学生側にも余裕が感じられたという。

「就職氷河期は、大手はもちろん、中小企業への就職も難しく、正社員になれるだけで御の字という時代でした。
それに対し、今は選べそうな雰囲気がある。そんな中で、20年間も単身赴任することも
ある全国転勤モデルはいやだと、はっきり言う学生も出てきたのでは」(武井氏)