ゴーストライター的存在である女は
作品を提供した男性作家を愛しているのだが
その作家が愛したのは自分の作品だけで
誰も愛せない人であった。
そのために、女は男性作家の作品の中で生きられるよう
自殺までしてしまう。
というのが、この話の核になっています。

究極のエゴだなぁと読んで思いました。
エゴというのは、今まで私の価値観では
あまりよくないものであるということになっていたんだけど
ある人の文章ではエゴのない女は駄目だ。始末が悪い。
と断じていたので、さて、エゴってそもそもなんなんだろう?
と思ったのです。
エゴがない女は駄目だ。という場合のエゴというのは
自分の好き嫌いとか信念がはっきりしていること
なのかなと思ったわけですが

このウツボラの中に出てくる自殺した女は
エゴが強い女だったんでしょうね。
男性作家が好きというか愛していて
それがあまりにもはっきりしていた。
このエゴは男性に対する欲望ですが
相手の都合がどうのじゃないんですね。
自分の感情というか欲望が先に来て
男性作家の心の中で永遠に生きるために自殺したわけです。

私はこれって罪なんだろうか?とふと考えさせられました。

相手の男性にとっちゃいい迷惑だよ。
と言いたいところですよね。
こういう人間のエゴって
お話としてはいいけど、現実にはね…。
と思ってしまいます。

とは言え、私の中でなにかもやもやするのは
人間のエゴというものを
深いところで理解してないからなのでは?と思ったりするのです。

このウツボラのなかにおけるエゴというのは
とても悲しいものでした。