続き

>バブル状態のマンション等、値下がり始める時期の“見極め方”…すでに水面下で値下げ始まる

こういった要因も加わって2015年と16年は都心エリアを中心とした局地バブルが燃え盛ったといっ
ていい状況だった。
 その後、国税庁が相続税の評価方法を変更する通達を出したり、チャイナショックで危機感を強め
た中国当局が外貨の持ち出しを厳しく制限したり、といったこともあって相続税対策と外国人の爆買いは市場から消えた。
 しかし、都心エリアの土地価格は上昇を続けて今に至っている。

6000万円のマンションを独力で購入するためには年収が900万円程度は必要だ。2017年 国税庁「民
間給与実態統計調査」によると年収900万円以上は給与所得者の6.35%。ほとんどの人は新築マン
ションが買えない状態なのだ。だから、市場を見ていても「売れていない」と思える状態。
つまり需給バランス的には完全な供給過剰。いつ市場価格が下落に転じてもおかしくない。しかし、
実際には下がらない。理由はハッキリしている。

 供給側がおおっぴらには価格を下げないからだ。ただ、水面下では値引きをしている様子が窺える
。市場を見ていると、値引きに躊躇しないデベロッパーの物件は比較的短期間で完売に至っている。
値引きを頑なに拒むデベロッパーの物件は、いつまでも完売しない。

 さて、この局地バブルはいつ終わるのだろうか。またマンションを始めとした不動産の価格はいつ
下がり始めるのか。
もっともわかりやすいのは、日銀の金融政策が緩和から引締めに転じた時だろう。かつての平成
大バブルは、当時の三重野日銀総裁が「バブル退治」と称して急激な金融引締めを行った結果、
見事に弾けてしまった。

不動産担保融資の残高は、すでに平成大バブルの規模を大きく超えている。不動産価格がハッ
キリと下落に転じた場合、そのうちの何割かが不良債権化する。無理をして組んだ住宅ローンも、
資産価値がローン残高を下回るケースが多発するはずだ。売るに売れない状態。
 山高ければ谷深し。本来の需給関係以外の要因で膨らんだ今回の局地バブル。のちのちの傷
を深くしないために、そろそろ緩やかな下降線に入ってもらいたいのだが――。