憂色深まる黒田日銀
財政との一体化に新たなリスクも    伊藤純夫(東京) 2019年6月18日 英語
https://graphics.reuters.com/JAPAN-BOJ-LJA/010092QE3LJ/index.html
物価目標、政権支持率への思惑
できなかったレジームチェンジ
金融政策、財政の「燃料」役に
次の一手、せめぎ合い続く

財政ファイナンス拡大のリスク
金融政策が財政拡大を支援するという政策一体化への動きは、日銀にとって危険な選択肢にもなり
かねない。ある日銀OBは「日銀から政府への所得移転であり、日銀の独立性を危うくするとの危惧は
あった」と当時を振り返る。
日銀の国債保有高はこれまでの大規模買い入れによって、すでに発行残高の4割を突破、500兆円
の大台に迫っている。日銀の金融政策は、すでに日銀自体が否定している財政ファイナンスになっている
との指摘も少なくない。
中央銀行が政府に対して資金を直接供給する財政ファイナンスは、財政規律のゆるみを招くと同時に、
中央銀行が歯止めない貨幣発行に追い込まれ、通貨の信認を揺るがすという大きなリスクも引き起こす。