1935年(昭和10)から1938年にかけての戦時体制移行期に国民礼法の構想のもと作法教育の強化が進められ、1940年に礼法要項が公布されたのち、1941年から1942年にかけて多くの礼法要項解説書が出版された。
しかしそこに示されるのはやはり厳格な型の学習とその遂行であり、終戦とともに姿を消した。
現在は道徳教育の内容の一つとして学習指導要領に「気持ちのよいあいさつ、言葉遣い、動作」「礼儀」といった文言が示されるにとどまる。
このように、教育における礼儀作法の流れは、温かい真心を根底に置きつつ現実的で簡素なものを求めるという理念と、煩瑣な内容と型に固執する現実との乖離(かいり)を繰り返している。