「何も言うことはありません」−。身長180センチ以上、顔はバイキンマンに似た悪人面で、年がいもなくヤンキー少年のように眉を半分剃り上げている男は、裁判長に淡々と答える。


男は神作譲被告(2004年当時33歳)。昭和63年、女子高生を仲間4人と共謀してさらい、41日間も仲間宅に監禁。
散々リンチして殺害。遺体をドラム缶に入れ、コンクリート詰めにして捨てた。
鬼畜の所業で刑務所に送られたが、出所して懲りずに再び“白洲”に姿をみせた。


不良少年時代のコンクリ殺人で「少年B」として逮捕・起訴された神作は平成11年8月に出所。
コンピューター関係の仕事に就き更正したかに見えた。
だが、すぐに退職し、殺人の舞台となった東京都足立区や埼玉県三郷市に舞い戻る。
14年ごろから暴力団に出入し、ゴロツキとして落ちぶれていた。


 「深夜2時ごろ、家の前に車が止まっていた。あいさつするといきなり『テメエ、この野郎』と殴りかかってきた」。
復讐(ふくしゅう)を恐れ、法廷に用意された異例の衝立の中で証言するのは被害者、円山勝男(27)=仮名、以下同=の同居人、大木勇三。
今年5月19日、かねてから円山に「女を取った」と濡れ衣を着せていた神作は、計画的に円山を襲撃したのだ。

「右手をグーにして5、6発殴り、路上に血が落ちた。車のトランクを開け、金属バットを円山君の顔の高さぐらいまで上げて『これで殴って殺すぞ』と脅した。
それで円山君はトランクに入り、連れ去られた」(同)。