「許すことなど何もない」

その男は邪悪な神にそそのかされ正統なる王子から王位と婚約者を簒奪しようとした。
熾烈な戦いの果てに偽者だった男は敗れたが、自分
の愚かさを痛感し心からの謝罪を口にする。

「今までのことは……許してくれ……」

だが正統の王子は慈悲の眼差しで答える。

「許すことなど何もない」

男は救われた気がした。全てを水に流し、今までの悪行すら無かったことにしてくれたのだ。
男は誓った。もし、この偉大なる王が窮地に陥った時はこの命全てを引き換えにしてでも恩を返すと。

十数年後、男は三大悪行超人の一人として歴史に名を刻まれていた。


これだけ書くと意味が分かると怖い話みたいだ