いやでも、女体化くらいまでの「読者を惹きつけ読ませる勢い」は、流石、かつて週刊連載でヒット作品を生み出したベテラン商業作家だと思ったよ。
もっと緻密なストーリーや綺麗な絵を描ける若手作家はたくさんいても、「読ませる勢い」を基礎体力として身につけ、それを維持してるベテラン作家というのは希少な存在かと。
しかし、故に、女体化以降のテンポダウン〜直人編に費やされたページ数と時間を「中だるみ」と感じてしまう読者は少なくない気がする。

加瀬先生が『くろアゲハ』を描くモチベーションは良い意味で『カメレオン』の呪縛であるわけだが、女体化という設定は良くも悪くもそれを破壊したのではなかろうか。
もしかしたら先生は、迷走してるというより、(過去作やそのキャラから離れた)新たなボーイミーツガールものを描きたくなっているのでは?