>>174
それには同意できない。
個々の有限的な人間存在が直面するさまざまな否定性、
葛藤、矛盾は抽象論において解決されるものではない。
そのような抽象的な議論は、歴史、現実における人間の
活動の外側に立ってそれを記述するときにのみ有効なのであって、
歴史の内部において自らの行く末を選択し
決断しなければならない現実的な主体にとっては、
それは意味をなさないものなのである。
有限的存在は、まさにそれが有限であるがゆえに、
現実の世界においてつねに自らの否定性の契機に直面するが、
そのとき有限者はその否定性を弁証法的論理において
止揚するという方法で、その否定性を克服し、
より真理に近い存在として自らを高めていくことができる。