日登町警察署

 グラハムの懸念は実際当たっていた。
 警察署内は現在、騒然とした空気に包まれていた。
 それはシロー率いる08小隊も例外ではない。

サンダース「隊長! 西より迫るプルーマの一団を目視で確認!」
エレドア「こっちもだ! 南からデビルガンダムヘッドが地中を来てるぞ!」
シロー「総員配置につけ! 絶対に敵を警察署内に入れるなよ!」

 デビルガンダムとハシュマル、恐るべき二大脅威が日登町警察署に向かっていた。
 いや、正確に言えば、進路上にたまたま警察署があった、と言うべきなのだろう。
 
カレン「他の連中はまだ戻ってこないのかい!」
ミケル「無理ですよ。通信もできないんですから!」
シロー「住民を救助に行かせたのが仇になった?……いや、そんなこと考えるなシロー!」

 現在、署を守る警官は通常の3分の一。その数でデビルガンダムたちに立ち向かわなくてはならない。
 通常ならば一度署を放棄して態勢を立て直すのがセオリーだ。
 だが、現在のシロー達にそれを選択することはできない。
 できない理由があった。

警察署内
マリーメイア「まさか社会科見学に来た先でこんなことに巻き込まれるなんて」
アルミリア「うう、お願い助けに来てマッキー」
プル「ね〜おなかすいちゃった。お菓子余ってないプルツー?」
プルツー「こんなときも平常運行だな姉さんは……」
ミネバ「うむ。この状況、まさに『きみは生き延びることができるか?』というヤツだな!」
ナトーラ「み、みなさん落ち着いて! こ、こ、こういう時こそれれれれれ冷静になって」
ナタル「まずはナトーラ先生が落ち着きましょう! 気持ちはわかりますが!」

 ロビーには職場見学に来たミネバたちの姿があった。
 いや、小学生たちだけではない。
 署内には、先ほどまでの騒動で避難してきた住民たちが大勢いた。
 彼らはみな、不安そうに外を見つめている。
 その傍では、いざという時の白兵戦に備えた警察官たちが、緊張した面持ちで立っていた。

ギャバン「貴様がここの最後の守りだ。命に代えても人々を守れよ!」
リディ「了解。……くそ、バンシィを持ってきていれば」
ユウ「…………」
リディ「嘆いても仕方のないことだろうって? 確かにそうだけど!」

 署を放棄するには、ここにいる全住民を安全に避難させなくてはならない。
 だが、今の警察の人数でそれは不可能だった。
 上ではハロ長官が、ラー・カイラム社やネオ・ジオン社に艦を回してもらえるよう必死に根回しをしているが、
 この混乱した状況ではそれも確実な手段ではない。

 現在、シローたちに残された手段は一つ。
 籠城したままで、デビルガンダムとハシュマルを迎え撃ち、
 なんとしても警察署とそこにいる人々を守る。
 それだけだった。

サンダース「射程圏内にプルーマ侵入!」
エレドア「数キロ先! デビルガンダムヘッドが顔を出しやがった!」
シロー「攻撃開始! 銃身が焼き付くまで……撃ち続けろ!!」