日登町西区

 マイ達一行が炎上するガンダム家から脱出を図っていた頃、
 フリットとウッソもまた、ガンダム家襲撃を宣言したアンジェロたちを追っていた。

フリット「くそう、どこへ行ったデシルめ!」
ウッソ「え、ちょっと待ってちょっと待って。↑で僕たちアンジェロを追ってることになってるんですけど。これ誤字ですか?」
フリット「え、だってちょっと戦っただけで早々に逃げていったじゃないアイツら」
ウッソ「そうですよね。で、フリット兄さんが『きっとこれは陽動だ』って見抜いて、家に帰ろうって話になったんですよね」
フリット「うん」
ウッソ「それがどうしてデシルを追ってるんですか、僕ら?」
フリット「それは帰る途中でたまたまデシルと鉢合わせして」

デシル『あ? おいおいガンダム家の天才()とスペシャル()が兄弟で仲良くおでかけですかwwww』

フリット「って煽ってきたから頭にきて」
ウッソ「あれはムカつきましたね」
フリット「だからさっきヴェイガンの前線基地を潰して、そこから逃げだしたデシルを今ミンチにしようと追ってるんじゃないか」
ウッソ「ああ、そうでしたそうでした……って、目的が変わってきてますよフリット兄さん!?」
フリット「え? 僕の目的はヴェイガン殲滅からずっと変わってないけど?」
ウッソ「それはそうですけど! 今はそういう流れじゃないでしょ、アムロ兄さんたちのケンカを止めないと……」
フリット「いいかいウッソ。この世の問題の9割はヴェイガンを殲滅すれば解決するんだよ(グルグル目」
ウッソ「そう思ってるのはフリット兄さんだけですよ!?」

 そうこうしているうちに二人は日登町の西区まで来ていた。
 アンジェロはもちろん、デシルの姿もどこにもない。

フリット「あ〜もう! ウッソのツッコミがうるさいから見失っちゃったよ」
ウッソ「僕のせいじゃないですよ! そもそもどうするんですか家からこんな離れたとこに来ちゃって!」
フリット「(無視)ここは西区か。ヨナ兄さんたちやドモン兄さんたちと合流できればいいけど」
ウッソ「無視しないでくださいよ! まったく、だから友達が少ないんですよフリット兄さんは」
フリット「は? それ今関係ないよね?」
ウッソ「友達が少ないから人の気持ちもわからなくて、一人で暴走しちゃうんでしょ!」
フリット「別に暴走していないし。それに友達だってちゃんといるし」

 フリットは口を尖らせた。

ウッソ「誰ですか。名前を挙げてみてくださいよ!」
フリット「え!? ええと、グルーデックさんでしょ、エミリーと……あとキオとか」
ウッソ「キオは身内だからノーカンでしょ!」
フリット「キオはいつも『すごいや兄ちゃん!』って褒めてくれるし、可愛いんだよね。誰かと違って」
ウッソ「なんなんだよ! 僕に言いたいことがあるならちゃんと目を見て言ったらいいでしょ!」
フリット「別に。盗撮魔に言うことなんて何もないね。あ、違うか。盗撮魔じゃなくてストーカーか、カテジナさんの」
ウッソ「人の黒歴史を掘り返すのはやめてくださいよ!」
フリット「先に攻撃してきたのはウッソだろ!」

 徐々にヒートアップしていく二人。
 あわやケンカ勃発か……と思われた矢先だった。

「何をやっているんだお前たちは」

 呆れたような声で誰かが話しかけてきた。
 二人が振り返ってみると、そこに立っていたのはシャープな体型をした濃紺のガンダムだった。