サイコフレームがあったおかげで、あの世からの物理的な介入が可能になった

福井:今までの「ガンダム」でのSFらしさというと、ミリタリズムと混同されていた部分も大きかったと思います。
でも、宇宙を舞台にしたSF作品として考えると、立派なサイエンス・フィクションですよね。
死んだ人が生きている人に語りかけるシーンが描かれていながら、それを突き詰めていなかった今までの方がファンタジーな状態に置かれていたわけです。
死んだ人の幻を見て勇気づけられるとか、マンガやドラマの演出と混同しているから「それもアリだろう」ってなっていたんです。
そうしたものと『機動戦士ガンダム』が決定的に違うのは、ララァの声を聞いたおかげでアムロはホワイトベースの全乗組員を脱出させられたし、『機動戦士Zガンダム』でもZガンダムが本来の出力以上のビームを発生させて敵を倒している。
つまり、「あの世からの物理的な介入」というのが『機動戦士ガンダム』の時点から描かれているんですよね。
その段階の先として、今回のフェネクスという存在あり得る、という発想ですね。
サイコフレームというものがあったおかげで、それを器としてあの世からの介入が可能になった。
本当にSFとして作られていながら、その部分は『機動戦士ガンダム』の頃から隠していたんですよね。