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続けようか。
当時、俺の限られた視界に入るのは

乳母のデボラ
やたら顔色の悪い禿かかった父親。名前は「旦那様」。
たまに顔を見せる母。ほんとにたまにだ。あまり愛されていないのかも知れない。名前すらわからない。

そして、ギョッとした。

初めて見た時には本当にギョッとした。

俺を見下ろす、その少年の目はまるで蛇のようだった。
俺を見ながら笑いもせず、ただ無感情に見えた。そして最後にフッと笑って去っていった。
蛇は兄だった。