サンライズ協力ガンダム人物列伝の解説 248ページ
カミーユ・ビダン 〜精神崩壊から戦うことを忘れた最強のNT〜
NTとして最強の力を得ながらもその反動により精神を崩壊させた
ジュドーは病院に運び込まれようとするカミーユに出会い、言葉に言い表せないものを感じる。
それは精神崩壊したカミーユの身体の中に閉じ込められた彼の魂だった。
全てを失ったかに見えたカミーユだったが肉体という牢獄にその魂が囚われているように奥底で眠っていたのだった。
最強のニュータイプと言われたカミーユが完全復活を遂げた時に彼の望むものはありふれた日常だろう

主人公のカミーユはそんな数え切れない哀しい現実を目の辺りにし、激しく傷つきながらも
ひたすら戦い続ける。しかしそのカミーユが戦い続ける理由はTV版と、新訳Zとして20年の
時を経て公開された劇場版とでは大きく異なる。TV版のカミーユは不条理な現実を憎みながら
そこに優しさと正義感の刃を闇雲に突き立てる。そしてそのまっすぐな怒りは傍観者の立場から
人間の命をチェスの駒のように動かす最も憎むべき敵シロッコを討つがシロッコの呪わしい言葉
通りカミーユの正気は失われ、Ζの最終回はアニメ史上稀にみる救いのないラストシーンとなる。
しかし新訳Ζのカミーユは哀しい現実をひとつひとつ咀嚼し、それを強い意志へと変えながら戦い
続ける。親を目の前で殺され、心が通じた女性フォウとは残酷な形で引き裂かれ、仲間達を次々と
失い、それでも未来を切り開こうとし続けるカミーユを、存在そのものがあまりにSF的だと言って
しまうことは簡単だ。しかし、そもそもニュータイプという概念が登場して以降のガンダムは、
放っておけば滅んでしまう人類にとって唯一の希望となるような「未知の進化」を描いた物語である。
シロッコを倒したあと、カミーユが精神的にも肉体的にも生還し、愛するファを
しっかり抱きしめる喜びを噛み締める新訳Ζのラスト。カミーユが最強のニュータイプだとするならば
彼には、このような希望に満ちた結末が待っていても良いはずである。
CUT2007年11月号35ページより(10/19発売)

グリプス2をめぐる決戦の終局で、ジ・Oみずから出撃したシロッコを追い詰めるカミーユのΖガンダム
最強のニュータイプの戦いの中で説明不能の力がΖを覆う。
シャアの百式はハマーンのキュベレイとの対決で大破し、無人のまま周辺宙域を漂っていた
Zヒストリカ11号見開きの解説1ページ

■最高のニュータイプ、カミーユ
富野由悠季監督はカミーユを「最高のニュータイプ」だという。
これは「戦闘能力ではなく」、広大なジャブローでレコアの居場所を特定するなどの
随所で見せる感受性の評価だ。とくに最終決戦ではその能力で死者の思念を受け入れシロッコ圧倒した。
ソース
http://cecilpla.up.seesaa.net/image/10A1B21.jpg