RGM-178 量産型ガンダムMK-2

試作型(RX-178)と並行して開発されていたガンダムMK-2の量産型である
試作型(ティターンズ用)MK-2ことRX-178の開発データを流用・転用することで
低費用でありながら迅速な開発を行うことを目標としていた
ティターンズ首脳部としてはゆくゆくは本機を正規軍の主力機として配備させ
アナハイムのMS権益を切り崩すとともに、本機の供給とライセンス関連を軸に
利権の確保と軍や政府内でのティターンズの発言力をさらに向上させることも目指していた模様

機体の特徴としては、試作型ことRX-178の時点で、量産化も考慮に入れた設計になっていたが
最終的に正規軍の主力機化を目指す当機は、そこからさらに生産性を向上させるため
随所にダウングレードと簡略化が施された、いわゆるモンキーモデルとなっていることである
(例えば頭部ならばモノセンサー化、ロッドアンテナへの変更などがなされる)
これにはRX-178がティターンズの、当機が正規軍の主力機となった暁には
正規軍がティターンズに戦力的に歯向かえなくなる、という打算が伺える
さらに、本機の開発は極秘計画である『本来のMK-2』(RX-178)開発計画のダミープロジェクトでもあり
情報攪乱のため、あえて同時並行かつ、形式番号もあえて被らせる措置がとられている
開発目的や機体仕様を見るに、本機の開発計画は単なるMS開発と言うよりも
ティターンズの謀略のタネ、という側面が強かったといえるだろう

だが…よりによって当機の開発開始後、情報工作の失敗から
本機用の部品の下請けに関わったメーカー経由で
本来のMK-2ことRX-178の開発計画や仕様がアナハイム側に露呈させてしまった
後世の歴史家から「RX-178強奪事件の始まり」と言われることになる大失態である

そのRX-178奪取事件後、グリプス戦争の開戦により、MSの開発配備を加速したいティターンズ首脳部の判断により
「ティターンズ向け次期量産機」候補とするため、若干グレードを上げるように仕様を変更することで
開発自体はなんとか継続が許されたものの、肝心のRX-178のデータが手に入らなくなったこともあり
(先の大失態の発覚により、開発チームに粛清の嵐が吹き荒れたことも大きいが)
開発は遅延を繰り返し、実機(後に識別のため「A」型と遡及附番)の完成を見たころには、
同じくRX-178をベースにしつつも、大胆な設計変更と独創的な機体構造を採用したことで
高い運動性とコストパフォーマンスを実現した「バーザム」の採用が内定済みで
なんとか比較検討に持ち込むも、バーザムに対し当機が勝るところ無し、という結論をもって不採用となった

開発中止命令待ちとなった本機だが、正式に中止となる直前でエゥ―ゴによるダカール議会占拠と
その後のティターンズ非合法化という一大政変が発生、混乱の中、開発中止も棚上げとなってしまった
(即時中止されなかったのは元々「正規軍向けの開発計画」という体裁をとっていたのも理由であった模様)
宙に浮いた形の当機だったが、エゥ―ゴの次期主力量産機選定計画がちょうど同時期に進行中だったため
それに組み入れる形で、まさかの旧敵方からの開発再開許可を得ることとなる

エゥ―ゴから手に入るようになったRX-178の実働データをもとに
各部をブラッシュアップした新バージョン(前述のタイプとの識別のため「B」型と附番される)を完成させたが
RX-178の構造を随所に取り入れつつも、GM2との互換性とマウントラッチによる拡張性をもつ「GM3」に対し
コスト高であるものの性能面での優位性なし、拡張性も劣る、として敗北
図らずも本来のMK-2こと、RX-178の流れをくむ機に二連敗する羽目になってしまった(この後、正式に開発中止も決定)

RX-178こと本家ガンダムMK-2の運命を一転させる大事件の原因となり
その後はRX-178の係累にしてやられ続けるような運命を辿ったことで、口さがない後世の研究者やマニアからは
「さらわれる理由を作った元凶に対するMK-2の呪い」
「ティターンズの謀略のタネを、正義に目覚めた『本物の』MK-2が打ち破った」などと揶揄され
結局、大した結果や成果は残せなかった本機であるが
当機の機体構造やアーキテクチャの配置など、随所の設計が
後のベストセラー機「ジェガン」の開発の際大いに参考にされている

…と言われていたが、近年の研究によって
ジェガン開発時に設計が参照されたのは事実なものの
RGM-178の影響とされる部分はだいぶ初期段階で変更されており
実際には『多数ある最初期の参考資料の一つ』でしかなく
「大いに参考にされたというのは単なる俗説に過ぎない」として否定されている